最後のアルバムをリリースするPINKの岡野ハジメ、ホッピー神山が語るアフターPINK。

通算5枚目のアルバム『RED&BLUE』を最期にPINKは活動を凍結する。

「『CYBER』で全ての活動を辞めちゃうのは理不尽な気がした。今回のアルバムは単純にPINKのファンに贈りたかった」

アルバムの中で福岡ユタカ、岡野ハジメ、ホッピー神山の3人は「個人個人好きなこと」をやっている。ホッピーは「ポップな曲を」というディレクターの欲求に応えながら”ベルリン”をテーマに3曲(うち1曲は福岡ユタカと共作)、岡野は「別進行のプロジェクトのせいでPINKらしい曲が書けなくなってしまった」ので、「昔のPINKのレコードを聴いて」3曲(※アルバム収録は1曲)、福岡はじっくり3曲(※アルバム収録は5曲、1曲はホッピー神山と共作)を作り上げている。

「前もってミーティングしたわけでもなく」、ある部分では「お互いの確認がとれない」という「バンドが健康な時にはしない方法でレコーディングされた」というが、違和感なく聴ける仕上がりになっている。
PINKの活動凍結に至る兆は、3枚目のアルバム『サイコデリシャス』のレコーディングに始まっている。「企画当初の方向性がレコーディング中にズレた」のだ。

「いろんなディスカッション及び事件があって、自分たちがこうしたほうがいいよって思ってることができなかった」

結果的にこのアルバムは売れ、PINKやメンバーの個人的なステイタスを上げたが、岡野やホッピーにとって、「どうでもいいこと」でしかなかった。それは、「守りに入ってある程度売れるポップスバンドとして生き残ることは絶対にイヤだった」からであり、ライブを主体に考えている自分たちとの決定的な違いに気づいたからである。そしてそれは、耐えられないものになる。

「巨額のお金を積まれたら、PINKをまたやろう、というハナシがビジネスとして持ち上がるかもしれない」と笑うが、その可能性は薄い。むしろ、各自の今後の活動に期待すべきだろう。

岡野の今後の予定は「白紙状態」。

「とりあえずバンドをやりたいっていうのはすごくあるから、それに向かってああだ、こうだしてる最中。個人的な仕事に関しては今まで通り、気に入ったものをやっていきたいと思うし、”クアドラフォニクス”もバンドとは全然別に、実験の領域としてやり続けたい」。

「大昔からバンド一筋」というホッピーはすでに、元ルースターズの下山とバンドを組むことを決めていて、昨年の秋からボーカルの一般公募をしている。

「とにかくボーカルが決まらないことには曲もイメージも何も決まらないから、現在は歌待ちの状態。決まったら爆進するよ。レベルはかなり高くなると思うけど、これもメンバーが決まってから。PINKだって、最初からレベルが高かったワケじゃないし。とにかくPINKの名は汚したくないし、PINK以上のことをやんなきゃ絶対ダメだしね。そうしてないと10年後、多額の金を積まれてPINKをやる時にイミがなくなるからね。個人個人が成長してないとさ。そのためにも負けたくないね」

「音楽は素晴らしくって当り前」、「R&Rは上手くなきゃできませんよ」という2人がこれからどんなバンドを作り、どんな音楽を聞かせ、どんなバンドマジックを見せてくれるか楽しみだ。

「『RED&BLUE』は否定的なイミだけで作られたワケじゃないから、今後、みんないろんな活動をしていくだろうけど、その幕開けみたいな形になればいいと思う」

(ROCK’ROLL NEWSMAKER記事)