「僕、ハイテック・バンドって言われるの一番頭くるんだ」(福岡)

ライブ見てキュン! それからレコード聴いてキュン! とにかくピンクはカットいい。勢いがあってキラキラしてる。12月に東京・ラフォーレ飯倉で行われたライヴも刺激的だった。その余韻を残しつつ2月25日に出るセカンド・アルバム「光の子」を聴くと、何かこれがピンクなんだっていうのが納得できてしまう。シングル「DON’T STOP PASSENGERS」も出るし、3月29日から全国ホール・ツアーもスタートする。大人のカッコいいロックで、聴きのがすテはない。

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---ラフォーレのライヴ、すごかったですネ。レコードだけ聴いてたのと、ずいぶんイメージが違った。
岡野 まあ、ピンクはライヴの方がカッコいいって一部でいわれるから、そんなんだと思いますけどね。

---ステージ上でみなさんホント動いてるっていうか、ダンスしててカッコいいなと思ったんだけど、中でもスティーブさんの躍動感ってすごい。何かひとり異人種がまじってるような・・・・・。
矢壁 もう外人。当然違う民族(笑)。
スティーブ 血はないんだっていうの。僕はステージに関してはパフォーマーに近い意義でやってるとこあるんでね。それは演奏してないってことで。(笑)

---LPできあがって今の心境は。
福岡 とにかく忙しく作ったから、終わったあっていう方がアルバムどう思うかってことより大きくて。でも、この間聴き直してみたけれど、割合いいなと思った。もう少したってみると、よけいわかると思うけど。
スティーブ 私の場合は終わると、ああ終わったっていうその時点でぱっと忘れてしまいまして、まあ、楽しいものができあがったんじゃないかなという印象が残ってます。
岡野 僕も終わってからまだ一度も聴いてないんですね。生みの苦しみっていうのは前作よりもあったから、仕上がり的には個人的に前のよりも好きだと思うんですけど、楽しみで聴くっていうのはもうちょっと時間が必要ですね。
矢壁 完全なのは僕もまだ聴いてないんです。どうしてもああすればよかったみたいなのが表に立っちゃって、楽しむような聴き方ができないんですけど。でも今回は新曲が多くて、わりと曲を距離を置いて見ることができてて、雑っていえば雑なんだけど、そういうスキみたいなのがポップさ加減につながってて、普通の人もわりと聴きやすいんじゃないかな。
渋谷 すきまの自由さっていうのはある。だからすでにライヴでやってる曲も、レコーティングの時の感じそのままにやりたいみたいな。
ホッピー 僕はもう第三者で聴いてます。昔から明るい曲が好きで、そういうの多いでしょ今回は。だから気に入って、他の人の気に入ったLP聴くようにBGMとして家で聴いてる。

---「SHISUNO」が何か他の曲と比べて音の感じが違うようなんだけど。
福岡 スルドイ!
---何か録音方法が違うとか、トラック・ダウンの処理方法が違うとか。
福岡 ラジカセです。ハハハ。
岡野 でも、最初はちゃんと24チャンで録ったんですよ。それをわざとラジカセで録る。最初遠くから聞こえてくるでしょ。あれ、僕がラジカセ持って歩いてるんですよ。で、だんだん近づいてくる。やっぱりニオイのある、あれっこれ何だろうっていうものにしたかったから。
---今はすごく音質がよくなってるけど、かならずしも音質がいいのと作品のクオリティーが高いっていうのは一致しない?
岡野 そうですね。だから感心と感動。評論家サイドでいい音っていうのは、やっぱり感心だと思う。でも、ラジカセでとっても涙が出るほど感動するものってあるでしょ。一般レベルに音楽がいった時には音質がいいものはいいって、そんなの関係ないもんね。みんな家でJBLのメチャメチャでっかいスピーカーで聴いてるって、そんな人いないしさ。
---音楽は感動の方で聴きたいね。
岡野 そうしたいよね。
福岡 僕、ピンクのイメージで一番いやなのが、テクニシャンがそろったハイ・テック・バンドっていういわれ方。一番頭にくるんだよネ。やっぱりあくまでも感性が先に立ってるバンドだってことを主張したいんだよね。

---ところで、いつもみなさんにぎやかなんですけど、レコーディングの時もそうなんですか。
福岡 そうですよ。そんなに変わんない。
岡野 うるさいからって外に出されることもありますよ。
矢壁 大変!嫌われ者だから(笑)人のスタジオでもうるさくて、もう大変。アシスタント・ミキサーの人泣いてるよ。
スティーブ 鍛えられて、みんな強くなりますよ。

---ところで、ホール・ツアーの後の予定は?
福岡 夏頃には、次のアルバムを作る準備に入らなきゃいけない。話題を作りたいから。とりあえず、3枚目までがデビューみたいな意識あるんですよ。1枚目でピンクっていうのがわかった人だけで循環していくんじゃなくて、3枚目までは輪を広げていくっていうかね。で、ライヴにしても、とりあえず聴いてほしいっていうのありますね。

(インタビュアー/角野恵津子)

「ARENA37℃」1986年3月号掲載