待望のファースト・アルバム『PINK』をリリースしてから、はや3ヶ月以上が経過。本物のロックを披露する数少ない日本のバンドというイメージも浸透してきたPINK。相変わらずテクニシャンの各メンバーは、さまざまな方面の仕事に参加。それと並行して、PINKの売り物でもあるライヴも、ツアーという形でこなしてきた。しかも、7月25日には12インチ・シングル『Young Genius-Gimmix』もリリース・・・・・・。というように、ハードなスケジュールの中で、つねに意欲的な姿勢をチラつかせている。それだけにPINKへの期待はまだまだ高まるいっぽうだ。
今回はPINKツアー中に、福岡ユタカ(Vo)にインタビューした。

---まずは12インチ・シングル『Young Genius-Gimmix』を作ったきっかけから聞きたいのだけど・・・・・・。

福岡:PINKとしてシングルを出す気なくて、出すのなら12インチと決めていたんだ。以前から新宿のツバキハウスを中心に、PINKの12インチ・シングルを作ってバラまこうみたいなアイデアは出ていて、それならレコード会社側の意見も含めて、正式にリミックスした12インチ・シングルをリリースしようっていうことになったわけ。曲に関しては、もう『Young Genius』しかないと思っていたよ。

---今ツアーで各地もまわっているけど、12インチ・シングルの反響はどう?

福岡:もともとディスコでかけてもらうことを狙ってたわけだけど、反響はいいよ。特に地方のディスコはすごいね。東京以上にかかりまくっているみたい。

---で、この12インチ・シングルのできには満足している?

福岡:狙ったことについては予想どおりだったけど、できについては100%満足はできないね。とにかく各メンバーのスケジュールが忙しすぎて、リミックスの時は全員スタジオにそろうことが一度もなかったんだ。テープ編集の作業が中心だったけど、ちゃんと専念できる時間が少なすぎた。それにB面の『Soul Flight』も、アルバムと同じテイクのものだし、本当に時間さえあればねぇ。

---話はアルバムのことになるけど、思ったとおりかなり高い数字が出てきたね?

福岡:うん、けして満足してるわけじゃないけど、予想していた最低のラインまではなんとかいったと思う。でも現実っていうのはきびしいっていうことも改めて感じさせられた。日本のロックの現状っていうのが、まだまだなんだというのも見えたしね。PINKもそうだけど、Shi-ShonenやUrban Danceのレコードだってもっともっと売れるって思っていたんだ。でも、実際にはまだかなり苦戦しているわけだし・・・・・。

---今ツアーしていて、手応えみたいなのはある?

福岡:アルバムを出す前よりも絶対に手応えはあるね。それにPINKをストレートにカッコイイと思ってくれるし、のってきてくれる。もともとPINKの場合は、ライヴでたたきあげてきたバンドだから、見ている人の反応がちょっと変わったぐらいじゃとまどわないよ。でも、PINKのファンは、単純なミーハーよりも、もう少しセンスが良くて、ロックの聴きかたを知ってる人が多い。

---次のアルバムっていうのはいつ頃に予定してる?

福岡:早ければ、10月頃からレコーディングに入る予定。リリースは2月だね。

---1枚目でいろいろなことが見えてきたわけだけど、2枚目を作るうえで新たに考えていることは?

福岡:もちろん日本で売れるっていうのが、まず先にくるんだけど、それだけ考えていてもダメだってことかな。けっこうイギリスあたりから出したいって言ってくれるところも出てきているし、そろそろそのあたりのことも意識していきたい。

---PINKというバンドそのものも変化していくと思う?

福岡:少なからず変わるはず。今まで何年かやってきたことは、1枚目でほとんど消化したし、その1枚目の出来もかなり良かったからね。今曲を作っているんだけど、次のアルバムでも、詞とメロディ、それにサウンドを完璧に融合させることはもちろんで、その上でPINKというバンドとしてのまとまりと、新しいカラーを作りだしていきたい。とにかく自分たちで絶対に満足できるようなものを完璧に作れるようになるのが、PINKのいちばんの目標なんだ。

 

PINKは、テクニカルなアウトサイダーが集結したプロジェクト。と同時に完璧主義者たちによる集合体でもある。この姿勢が崩れない限り、PINKは必ず近いうちに日本のロックの新しい核になるはずだ。

(取材:山田道成)