なんてディープインサイド、カラダの中にグ~ンと入り込んでくる音だろうと思った。大きく巻かれる波のうねりに、そのまま身をまかせ、ただよってる感じ。どこまでもどこまでも流されて行きそうな、実に大陸的な気持ちよさにフワリと包まれた感じ。

だけどカッティングはすごくシャープ。ミキシングはすごくファンタスティック。パワーとエレガンス。このミスマッチがPINKの魅力。深い深いショックングピンクに溶けていきそうなPINKの魅力・・・・・。

ときは1985年5月17日、渋谷はライブ・インで”PINK初体験”。その数々の評判は聞いていたけれど、まさかこんな気持ちになるとは思ってもみなかった。そこでしばしボーゼン。だってライブハウスでも、彼らのステージは決してコンパクトじゃなかった。とっても壮大な音が、私たちをすごいエネルギーで挑発した。

だから会場は噂を聞きつけたオーディエンスで超満員。それもスタート1時間前にはもう身動きもできないほど。”これじゃ踊れないね”と人々は口々にささやく。だけどPM7:30を少し過ぎ、幻想的なBGMが流れ出し「RECOLLECTION」が始まれば、もう心配はいらない。わずかなスペースを見つけ出し、カラダを揺らし始める。

前半はメロディアスな「SECRET LIFE」~「PRIVATE STORY」~「SOUL FLIGHT」で私たちを引き込んで行く。”まだギクは始まったばかりだよ!”とつぶやくように。

そして後半、「MOON STRUCK PARTY」~「YOUNG GENIUS」~「ZEAN ZEAN」で私たちのペースをグングンかきみだしていく。

とても早いスピードでギグは走り抜けた。アンコールにはアルバム「PINK」にも参加したBOØWYのホテイ氏が飛び入りギタリスト。PINKのうねりにモーションをかけた。ホテイ氏いわく「最近、久々に気に入っているバンドだね」。
その夜の16曲は、もっともっと月の光をあやしくさせた。

(撮影・松井康雄/文・山田あゆみ)

 

「GB」1985年8月号掲載