先天性エスニック人間の正体!?
福岡ユタカ [PINK]
石見神楽と境内にいたバイオリン弾き
史上(大ゲサな・・・)何度目かのエスニック・ブームがきている。今度の風はファッションを中心に吹き荒れそーな気配だが、エスニック、或いは無国籍風ビート・ダンサブルといえば、本邦ではまずPINK。中でもボーカルの福岡ユタカクンの腰の入れよう(笑)は、つとに有名。そこで取材班は、エスニックの魔性とは何か!? 他分野をクロスオーバーに伝播するその正体とは!? を解明すべくドシャ降りの中を目黒はインドネシア料理店 ”せでるはな” に急行した(食べたかっただけ)!
とりあえず”カピ”(ドロッと甘いインドネシア・コーヒー)片手に本質追及の真摯な旅は、始まったのだった。
「特に詳しい、というわけではないんです。時々、食事をするぐらいで。この前、吉田美奈子さんに連れていってもらった道玄坂の台湾料理はうまかったなぁ・・・。渋谷ムルギーのカレーもおいしいよね」
充分、詳しいぢゃないか・・・ブツブツ。その後も出るわ、出るわ、店や料理の名前が・・・。ツアー先の名古屋で「翌日、腰が痛くなる」ほどのド辛台湾料理に遭遇。武勇談といえる。
「細野晴臣さんの『はらいそ』や、EW&Fの初期の作品あたりからですね、音楽的な影響は。南国系の”エキゾチック・サウンド”というか・・・。でも、ひとつのジャンルの音楽をマニアックに聴くことはしない。いろんな要素がゴチャゴチャ混ぜになった方が面白いに決まってる。自分の中に入ってきた音をそのまま忠実に伝えなきゃダメってことはないですからね」
エスニックなるものは勿論のこと、知らないこと、新しいものへの興味は、人一倍にハイ・ヴォルテージとみた。
3歳の頃、神社の境内でみたバイオリン弾きが網膜に焼きつき、鼓膜をいたく刺激。すぐ、母親にねだってバイオリン少年に。出身地の島根県浜田市の石見(いわみ)神楽の踊りでは毎年大フィーバー(死語)を演じた。出雲大社のお国柄だけに幼児体験も神がかっている(笑)。音楽、ファッション、料理の流行りとは微妙かつ適正な距離に身を置く”先天性エスニック人間” の典型。
2月に出た2nd.アルバム「光の子」(アルファムーン)も賛美の声に包まれて、今後の大雄躍(大勇躍?)に注目が集まるのも無理はないところに、突如、この秋ロンドンに渡ることが決定した。
「レコーディングやリリースの話とかいろいろ来てるんですけど、何をするのか正式には決まっていません。発売が決まれば、当然ライヴも演りますけど、どうせやるなら向こうと対等に張り合いたい!」
ピラミッド・パワーや超能力まで話題は及び、議論止まるところを知らなかったのだが、紙数が尽きた。3月29日中野サンプラザを皮切りに5月まで続く全国ツアーで、その底力を点検しておくよーに。