1stアルバムから大物の風格を漂わせていたPINK、待望の2ndアルバムがいよいよリリースされる。期待を裏切らない、目もくらむようなサウンドには、誰でも酔いしれてしまうことだろう。本誌でもおなじみ、キーボード担当のホッピー神山が、今回のアルバムについて語ってくれた。
―――2ndアルバムのレコーディングはどんなスケジュールで行われたんですか?
ホッピー神山 7~9月はツアーのようなライヴや個人個人の活動があって、9月の終わりから今回のアルバムにとりかかりました。10月はめいっぱいベーシックやリズム録りをやって、11月はライヴなんかもあって10月の残りをちょこちょこっとやり11月の終わりから12月にかけトラックダウンをやりました。9月終わりからのリハーサルでは14~5曲、いやもっとやったかな。いろんな曲を試して、その中から面白そうだなというのをスタジオで録音していったんです。
―――古い曲も入ってますよね。
神山 「青い羊の夢」は前からライヴでやってました。もともとPINKはファンク・バンドで、この曲もその頃のものなんだけど、1枚目のアルバムはちょっと違って、ロックっぽい8ビートの曲でタイトな感じだったから、コンセプトに合わなくて浮いちゃうかな、と思って今回にまわしたんです。
―――今回のアルバムのコンセプトは?
神山 アルバム・タイトルでもわかると思うけど疾走感を出したかったんです。”光の子”という言葉にスピード感があるでしょ。最初は『ラヴ・トゥリーズ』とか『ナイン・トゥリーズ』という仮題で、植物と人間の愛というところでいこうとしたんだけど、最近は愛という言葉が氾濫してるから、もっとスマートなものにしよう、と。
―――キーボードは1枚目よりもたくさん入ってるでしょ。
神山 ファンク・バンドの頃はガンガン鳴らしてたんだけど、1枚目はギター・サウンドの方へ動いたんで。ギター・サウンドでありながらキーボードも鳴ると、エイジアのような重厚な方へ行っちゃう。だから、1枚目ではキラッとした味つけくらいにしておこうというのがぼくの考えだったんです。今回はちょっと明るめのポップな部分を増やそうというのがメンバーの考えで、そのカラフルさをキーボードで出していこう、と。ぼくらのメロディ・ラインはブリティッシュなのやエスニックなのが多くてダークな感じが出やすいでしょ。全体的にキーボードのポップな明るさや覚えやすいフレーズのリフで、そういう色づけがうまくできたんで、割と満足してるんですよ。曲によってはもっとキーボードが入ってたんですけど、ギターがもっともっと出てなくちゃいけないということで、キーボードをトラックダウンのときにかなり削ったりもしたんです。
―――使ってる機材は?
神山 ステージでもそうなんだけど、基本的にはプロフィット5、イミュレーターⅡ、DX7の3台で、レコーディングではノヴァトロンも使っています。あとはグランド・ピアノ。1曲、生ピアノをフィーチャーした曲があったんで。
―――そういえば、アコースティックさが目立ってるという気がした・・・・・。
神山 生楽器をうまく使ってふくらみや匂いを出そうということは考えました。ギターも12弦がいっぱい入ってるし。イミュレーターのストリングスの音よりは、ノヴァトロンでやった方が匂いが出て、よりサウンドがしまるんです。それに、ぼくはアナログ楽器が好きだから、どうしても使いたくてね。
―――「光の子」のヒュッヒュッという音は何?
神山 あれは、パーカッションのスティーブが長いナイフを振り回している音なんです。中国や香港なんかの劇でシュシュシュシュッて刀を振り回したりするのがあるでしょ。ああいう雰囲気を出そうと思っていろいろ試して、いちばん音の抜けるものがあれだったわけ。
―――「SHISUNO」の雰囲気も変わってる。
神山 変でしょ。曲も音も。実は、普通のラジカセの内臓マイクで音を録ってるんです。最初からそうしようとしたんじゃなく、たまたまラジカセの音が録れていて、それを聴くと空気の匂いがしてすごく雰囲気があってね。いいなあと思って。リミッターもかかってるし。いろいろな物音が入ってたらもっと面白いだろうと、あちこち持ち歩いて音を録ったり。
―――即興のアイディアなわけだ。「DON’T STOP PASSENGERS」の逆エコーもそう?
神山 あの曲はサビから入ろうと、リハの時決めて録音したんだけど、歌から入っちゃうから頭のインパクトがなくて。その前に余韻をつけたらコーラスになだれ込めるんじゃないかと思って、後からつけたんです。
―――この曲、キーボードをたくさん重ねていますね。
神山 それほどでもないんですよ。イントロにはガムランぽい金属音で裏メロをとってるのと、ストリングスとブラスの混じったような音で同じフレーズをなぞる2パターンです。
―――ライヴでも同じ音色ですよね。
神山 これからステージ・アレンジも変わっていくだろうけど、基本的な音色やフレーズは変えないつもりです。
―――ライヴを楽しみにしています。今回はどうもありがとう。
PHOTO by S.KIKUCHI
「キーボード・マガジン」1986年3月号掲載


