ショコラータはチョコレートの意味。イタリア語でCIOCCOLATAというつづり。チョコレートの意味は?温かくなると溶けて、冷たくなると固まる。その他にもスラングとしていろいろな意味が・・・・・。
というように名前からしてまず、ショコラータの存在はちょっと気にかかる。日本広し、世界広しといえども、その存在自体が気にかかるバンドなんて数えるもの。つまりそういうバンドがある、ということ自体なんだかおもしろいということ。

東京にはこういったバンドがよく出現する。いや、東京というよりも集約的な大都会、共通するイメージを持った大都会からは、とかく無国籍バンドが登場するようだ。ひょっとしたらショコラータもそのひとつかも。
彼らは、イタリア語で歌を歌う。しかもイタリアの古典からアイディアを得て、ボーカルのカノ香織は音楽大学科。ロックやジャズや歌謡曲は全くと(言って)いい程、聴いていない。「クラシックは聴いていたけど、その他のものは本当に聴いたことなかったんです。で、歌=命、というわけでもないし、3年後はOLやってるかも知れないし、今のところショコラータでは好きにやらしてもらってます」カノ香織の歌が飛び舞う下には、スリリングな演奏がある。稚拙な表現だけど、カッコ・イイという言葉がピッタリ。

「別にイタリア人に聴かせるからイタリア語でやってるわけではないと思ったのね。はじめて見た時から。で、最初に見た時の、変なことやってるなーっていう気持ちで、今でも手伝ってるわけなんですよ。変なの、っていうのは悪いという意味ではないんですよ」ベースを担当の岡野はじめは、他にピンク、東京ブラボーなどをやっている人。ショコラータでもかなりサウンド面の力となっている人。この人も注目したい存在。

で、順番がちょっと変だけど、リーダーの渋谷ヒデヒロ。この人は傲慢なリーダー、のまったく逆の人。でなければ、向きも大きさも全然違うベクトルを持った人間達をまとめることはできないでしょう。
「何かひとつの目的を持ってみんな集まっている訳ではないし、やりたい事はたくさんあるから。作曲は僕、その他のことはみんなそれぞれ」
という具合。ちょっと話を聞くと、よくこういう人達が同じ時間を過ごせるな、と思うけど、事実は小説よりも奇なり。今年はライヴ、レコード共に活動を広げていきたいとのことだから、乞うご期待というところ。

(Player 1984年2月号より)

ショコラータ(Wikipedia)⇒