夏の到来とともに、PINKの熱風が襲ってきた。6月25日にシングル「砂の雫」でデビューしたPINK。このシングルがFujiカセットのTVCMソングになったばかりでなく、今、PINKはこの他にも3~4本のTVCMの音楽を担当している。たぶん、それだけでもいかにPINKが、ハイパワー、ハイ・テクニカルなバンドであるかがわかると思う。
大沢誉志幸のバックを担当し、またPINKとしてもエネルギッシュなダンス・パーティーさながらのライヴも展開してきたこのバンド。メンバーも、元ビブラトーンズの福岡ユタカ(Vo)と矢壁カメオ(Ds)、元ショコラータの岡野はじめ(B)と渋谷ヒデヒロ(G)、それにホッピー神山(Kb)、スティーヴ衛藤(Per)と凄い顔ぶれがそろっている。
---何度かライヴを見たけど、PINKはダンサブルなものを基本にしてるんでしょ?
P:それはそうだけど、オレたちは感じたままに楽しんでくれればイイと思ってる。
---でもライヴだけを目的に活動する気はないよね?
P:もちろん、やるからにはある程度メジャーにならなくちゃ。今のところはシングルだけなんだけど、今年中には12インチEPかアルバムも出すつもり。
---大きな目標はある?
P:あまりハッキリしたものはない。ただ、なんでもやってみたいよね。海外へのアプローチやレコーディングというのも実現してみたい。実際にその計画もないことはない。
---やるとなれば、やはりイギリス?
P:たしかにロンドンは行ってみたい。だけどみんながもうやってることだし、今のロンドンはあまり状況がよくないようにも思える。まあ、やれることならやるよ。
---PINKを結成したきっかけは?
P:ビブラトーンズの後にいろいろとセッションをやってたら、変なミュージシャンがたくさん集まってきた。一時期はそのセッション・メンバーが10人以上になった。それを整理して今のメンバーになった。それが昨年の秋だったんだ。
---各メンバー、いろいろなバンドでこれまで活躍してきた連中ばかりでしょ。それがここにきてPINKに固定して活動しはじめたのはどういう理由から?
P:みんなそれなりにいろんなバンドでやってきたけど、どれも満足できなかったんだ。PINKは、セッションをやっていた時に望んでた連中が集まったわけ。今はもうPINKしかないよ。いつもデタラメな人間なんだけど、PINKに対しては真剣にやってる。
PINKのサウンドは日本人離れしたリズム感を持っている。その乗りは本当にすさまじい。特に福岡ユタカのヴォーカルは、エネルギッシュでハートフル。実に決まっている。
P:PINKが基本にしているのはシンプルなリズムとメロディーの良さだと思う。
「Rockin’f」1984年9月号掲載
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