大沢誉志幸のバッキングで知られるPINKがアルバム『PINK』で待望のデビュー。先鋭的といわれる彼らのサウンドの秘密は?

PINKのメンバーは、福岡ユタカ(vo)、岡野ハジメ(b)、渋谷ヒデヒロ(g)、矢壁アツノブ(ds)、ホッピー神山(key)、スティーヴ衛藤(per)の6人。いま、日本で最高にフレッシュな音楽個性集団だ。

「今回のデビュー・アルバムには、たくさん友人が参加してくれてます。まあ、PINK自体、始まった頃から人の出入りが激しいバンドだったので、今回も自然とそういうレコーディングでした。初期のステージでは、最高11人いたこともあるんです」(福岡)

「初期のPINKはね、もうゴリゴリのファンク・パンクって感じ。30分聴くのが限界で、あとは疲れるっていう世界だったね。それからだんだん変わってきて、作品の良さを大切にしていく方向になってきた。今は昔みたいに疲れる感じはないですヨ」(岡野)

アルバムは、ほとんどの曲をボーカルの福岡が書いている。声による民族音楽へのアプローチの鮮やかさと、踊るっきゃない的なファンキーさが一体となって、PINKのサウンドは実に危ない。

「いまのところ、ボクが曲を書いてメンバーに見せますよね。それから、ベースとドラムがリズムを作り出して、それを聴いたボクがまた触発されて・・・という感じ。まあ、コンセプトはないけれど、自分たちがいままでやってきたことがゴチャゴチャに入ってる音ですね」(福岡)

PINKの音は、いまのミュージック・シーンの中で、かなり先鋭的なものだ。でも、単にメンバーが気持ちでナウいものを作ろうとしたのではない。もっと着実にコツコツと積み上げてきた結果だ。

「流行モノのサウンドはやりたくなかった。それはCM音楽や、アルバムより一過性の12インチ・シングルでやればいい。やっぱりメンバーが律儀なんでしょうね。LPって2800円もするから、何回も聴いて楽しめるようなものを作ろうっていう意識があった」(福岡)

PINKのレコードは不思議な手触りだ。中近東風のメロディが出てきたりしても、それがとってつけた印象じゃなく、ちゃんとメンバーの中に根づいている。

「メロディ?ナニナニ風とかっていうんじゃなくて、メロディに匂いがないのがいい。それを通じてどこへでも行ける感じがする・・・。出回りすぎたメロディっていうのはちょっとね」(福岡)

「FM STATION」掲載記事

★PINKファンの方より、貴重な記事データをご提供いただきました。