最先端のサウンドを届けてくれるPINKは、昨年、多くの海外進出バンドの波に乗りおくれることなく、ロンドンでリッパにライブを披露してきた。外国の業界くんたちがオリジナリティのあるビートを持ったバンドだって絶賛。その実力は3rd.LPで。
そのPINKの最新作は『サイコ・デリシャス』。CFで使われて超話題になった「キープ・ユア・ビュー」を含む自信作だ。いままでの作品より、1曲1曲の完成度を狙った作りになっているというか、ともかく歌を大切にした仕上がり。いつもオリジナリティのカタマリのような歌を聴かせてくれるボーカルの福岡ユタカに話を聞いた。
福岡ユタカ(以下F)▼これで3枚目だし、PINKの音っていうのがある程度はみんなに知ってもらえてると思うんですよ。だから今回は、1曲1曲をちゃんと作っていくことを最初に考えましたね。コンセプト・アルバムとは違うんですよね。『サイコ・デリシャス』っていうのも、一個一個の曲をぜいたくにっていうことでね・・・。
―――PINKっていうと、最先端の音、というイメージがありますが・・・。
F▼ いまって、ハヤリの音とかっていうのはないでしょ。だから、ジックリと曲作っていけばいいんじゃないかなあってね。聴いてる人をサウンドで驚かせよう、みたいなインパクト主義っていうかな、そういうのはまったくないんですよね。だいたい、このアルバムが完成したのは去年の夏頃でしょ。それをあれやこれやして発売したのはさ、今年の1月ですよ。メロディがしっかりしてないとその間もたないしね。作ってる最中にもメロディを殺すようなアレンジは避けよう、というのがあった。
―――昨年ロンドンに行った目的はなんだったんですか。
F▼ 向こうでレコード出したいっていうのはデビュー当時からあってね。それがいよいよ「ソウル・フライト」って曲で実現したし、そのためのライブだったんです。やったのは、業界の人が集まるクラブっていうかディスコみたいな場所。「つまんなかったら、みんな途中で帰っちゃうからね」みたいにいわれたから、「ヤベ~なあ」って緊張したけど、結局かなり楽しんでくれたみたい。アンコールも来ちゃった!すごくうれしかったのは、みんなにオリジナリティのあるビートを持ってるバンドだっていわれたことかな。
―――向こうでやる自信はつきましたか。
F▼ パワー的にいって、外国でやるには国内の3倍くらいのものが必要なんじゃないかな。ともかくタイヘン。ボクたちは、めぼしい人が来日した時とかには音を渡して聴いてもらってるんですよ。そういうふうに、業界の人とかを攻めないと広がらないんじゃないかな。3月発売の12インチのミキサーをスティーヴ・ナイに頼んだら実現したんですよ。
インタビュアー▼小沼信昭
撮影▼菅野秀夫
「FM STATION」掲載記事
★PINKファンの方より、貴重な記事データをご提供いただきました。