「日本には”〇〇ふう”っていうように、ひと言で片付けられてしまうバンドが多いけど、ぼくたちは違うっていう自信がある」とリーダーの福岡ユタカは断言する。確かにPINKは、ほかに比較できるアーチストがいないほどに強烈な個性を持ったバンドだ。多くの日本のアーチストが英米ロックの流行と追いかけっこをし、借りもののサウンドで勝負しているのに対して、彼らは世界中のありとあらゆる音楽を吸収し、なおかつどこにもないといった独自のサウンドを築き上げている。その意味では、彼らほどプライドの高いバンドもいないだろう。

そんな彼らの新作『光の子』☆は、ここまで書いてきたことを裏切らない充実作だ。今までは、”クロウト受けするバンド”というイメージがやや強かった彼ら。が、「前作はどちらかというと内省的だったけど、今回はバンドのラジカルさを前面に出している。よりカラフルで、だれにでも楽しんでもらえる仕上がり」というように、これからは、より幅広い層に受け入れられそう。
また、3月から始まる全国ツアーについても「これまで以上にエキサイティングで、みんなに踊ってもらえるものにするつもり」と言う。

限りなく繊細で透明感のあるメロディーと超人的なパワーにあふれたリズム。この相反する2つの要素をみごとにドッキングさせ、聴き手の心も体も踊らせてくれるロック・バンド、PINK。「日本のロックなんて・・・」と思ってる人は、ぜひ一度体験してほしい。

(REPORT/渡辺亨 PHOTO/広瀬雅敏)

 

「FMレコパル」1986年6号(3/10~3/23)掲載

 

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