福岡ユタカ(vo)、岡野ハジメ(b)、矢壁アツノブ(d)、ホッピー神山(k)、スティーヴ衛藤(per)、渋谷ヒデヒロ(g)。この6人の男たちが集まって結成したバンドPINKは、何よりも彼らが発する音そのものが圧倒的なパワーを持つ強力なバンドだ。パワーと言っても、音量やテクニックのことではなく、音色1つ1つに対するセンス、ビートを前面に押し出したタイトなリズム、そして明解なメロディなど、PINKの音楽の持つ様々な面が1つになって迫ってくる時のパワー感なのだ。
メンバー各人の名前は、ニューミュージック系のレコードに参加しているメンバーとして、あるいはアレンジャーとしてお馴染みの読者も多いことと思うが、彼らがPINKという1つの有機体となって発する音は、6人の個の単純な和以上の、存在感を持っている。
リーダーの福岡は、PINKは永遠に変化し続けるバンドとなりたいと言う。「2面性、3面性、4面性を持って、とにかく先に進みたい」のだそうだ。基本ポリシーは「あくまでもやりたいことをやりたいようにやる」と大胆。「激しさと病気の部分を両方やっていきたい」(福岡)、「基本的な部分と最新鋭の部分が混然一体だし、汗と知性、ポップなものとネイティブなもの、優しいところと意地悪なところもある」(岡野)とは、彼らの懐の深さを言い表わした言葉だろう。
いわゆるニュー・ウェイブっぽい音はどうもね・・・・なんて言ってる人がいたら、ぜひともPINKのライブを見てほしい。これはどれだけ言葉で説明しても仕方のないことだから、百聞は一見に・・・・の諺どおり、とにかく一度見てもらいたい。きっと、目の前が開けてゆく快感を味わうことができるはずだから。
(Photo by Sho Kikuchi)
「ギター・マガジン」1985年7月号掲載