本誌を始め、日本の音楽関係者の間ではすごぶる評判の高いPINKの約9カ月ぶりのセカンド・アルバムの登場である。
PINKでのグループ活動の他、ホッピー神山、岡野ハジメらの各個人でのセッション、レコーディング、プロデュース活動にも目ざましいものがあり、SHI-SHONEN、布袋寅泰と並びポストYMO世代の中で、次代の日本のミュージック・シーンの第一線のクリエイターたらんとする存在であることは、まず間違いない。
PINKについて語られる”太く厚い音”、”叙情性溢れる歌に強力なダンス・ビート”といった持ち味は今回も変わってはいない。
あえて言うならばヴォーカルの福岡の声質とメロディ作りにポリスのスティングを彷彿させる所があったり、最新のヒップ・ホップからドゥルッティ・コラムまで、海外のナウい音をそつなく味見した・・・・・という感じもチラつくが、それを見え見えにならない所で止めている気配りがあるから嫌味には聴こえない。
歌われている歌詞はSFアニメ的ロマン世界と言えるもので、こういった歌詞もよく練っていると思う。
現在の水準から見て非常に良く出来たバンドの良く出来たアルバムと言えるが、その出来過ぎた破綻の無さに僕は今一つのめり込めない所がある。”狂気のエーテル”と歌うフレーズに、今一歩の狂気さが感じられる様になれば本当に凄くなると思うのだけど・・・・・。
(鳥井賀句)

 

アルバムレビュー

 

雑誌内広告

 

「MUSIC STEADY」1986年3月号掲載

PINK掲載記事
>>ニューアルバム「光の子」について語ってもらった