福岡ユタカ

自由でいたい!窮屈になりたくない! まじめなリーダーの正直な思惑とは

■プロフィール:牡牛座A型。通称エンちゃん。PINKのヴォーカル、コンポーザー。以前は「ビブラトーンズ」のヴォーカル、パーカッションとして活躍。名実ともに今のPINKを支える屋台骨。彼の中に流れる原始的なうねりは、やはり故郷の自然の中で培われたものに違いない。蛇足だがドラムの矢壁氏の母方の実家も同じ浜田市。

Leader of Pack

「はい、このバンドはリーダーやるの大変です。えーとね、別にまとめ役って感じじゃないからね。とりあえず、はじめがワーッと集まってきたバンドだしね。
6月から、またレコーディングに入るねぇー。早いよ。日本的なペースに合わせるとそうなっちゃうのかも知れないね。正直なところ、休みたいんだよ。向こうのレコードって熟成期間が長いからね。その辺、考える時間がメチャクチャ欲しいよね。録音に入っちゃうと僕はPINK以外の事、できなくなるもんね。結局、曲と歌詞の打ち合わせをやるのも全部僕だし、しんどいんだよね。
まぁ、3枚目まで作ってある程度、PINKメロディっていうか、福岡メロディは確立できたと思うしね。こと僕に関して言えば、世界に通用する誰にもできないものができたって感じはするね。」

Nature boy

「お祭りが大スキでー、悪ガキって言うか山や川で遊んだりしてたから、そういうところの影響ってすごくあると思う。島根の浜田っていう人口6万ぐらいの地方都市ですけど。ミュージシャンなんて出たところじゃないし、プロになろうなんて気もなかったし、本当に趣味で音楽を聴いてたし―――。夜遅くなるとラジオ関東とかがうっすら入ってくるしね、そういうの聴いてたりね。R&Bから、ディープ・パープルやらツェッペリンやらT・REXやら、ごたまぜに聴いてて、自分の中に架空の領域っていうか音楽パラダイスみたいなものがあるんだと思うね。

Instinct

「メロディやリズムに関しても根源的なものって言うか、浄化作用ってあるでしょ?アジアの民族音楽とか聴いてるとイーノのアンビエントなんかと同じような浄化作用を感じるのね。1人のアーティストの作る作品じゃなくって、何年も何十年もいろんな人が積み重ねてむき出しにされた部分ってあるでしょ。音楽って言葉でとらえられないものでしょ?本能に近い部分があるでしょ?」

Haruo

「窪田の影響ねぇ・・・・・。ある種『いいな』と感じる部分があいつと重なる部分は結構ありますね。僕は肉体っていうか本能的な人でしょ。彼はそういう部分にすごくコンプレックスを持ってると思うしね。結構理づめで考えていくタイプでしょ。彼にはポピュラーアカデミズムみたいなところがあるじゃない!すごく音楽に対して純な部分があってね。そういうところでは認め合ってますね。いっしょにやろうって話もあるんだよ。あいつって自由さもあってオリジナリティもあるでしょ?すごく面白いものができそうな気がするね。」

Look Big!

「今のPINKの堅苦しさ?それはあるかな・・・・・。メンバー間の音楽性の違いはあるし、ヘタにそういうのはやめたいんだけどね。リーダーの重荷・・・・・?うん、それはあるね。もともとリーダー的な資質の人じゃないからね。ソロ的な資質が強いんだろうからさ。あとどこか知らないけどポツンといる人みたいなさ―――。そういう部分は作っていきたいよね。でも、そういうのって気が合う仲間じゃないとできないんだよ。わかるでしょ(笑)。そういうのは窪田(晴男)とのプロジェクトでやればいいんじゃないかなって感じだね。PINKはPINKで乗りかかった船だからね!」

Fret&16

「でも、メロディはやっぱり僕が書かなくちゃいけなくなるんだろうね(笑)。もう1人、歌える人がいると便利なんだよね。みんなが曲を持ってきて責任もって仕上げるってのもね、やってみないとわかんないよね。他のメンバーが曲を書いてきても、ビブラの時もそうだったけどー・・・・・。結局さぁ!!あんまり変わんないと思うんだ。(笑)。みんな曲書いて歌えるなら歌ってるよ。(笑)作曲する人っていそうでいないね日本には―――。
3枚目はやりたい世界があったからね。風とか水とかの流れって事をすごく考えて作ったから。今度はリズム的には16(ビート)ものをやりたい!
日本でファンクバンドが売れた試しがないでしょう。だからファンクやりたいのね。これはメンバーも一致してるところだと思います。これは結構考えてるんですよ。
昔はファンクやる人たくさんいたんですけどね。こないだ窪田といっしょに(矢野)アッコさん家に行ったのよ。それで話してて、最近のお客さんてガンガン、ガンガンってノリがワンビートなんだよね。16(ビート)の曲が流れた時、踊り方がわかんないっつーの。自分の中でも戦車のような8ビートはあきてきてるからね。はずんだ16ビートの曲をやりたいんだよね。今、どんどんリズムが単純化してるからつまんないんだよね。

Pleasure

「バラードって言うよりも、ゆったりした曲が多いよね。『サイコ・デリシャス』に関しては。そういう曲をやってる人っていないでしょ?テンポが速いだけの曲が多い気がするのね。時間をひきのばした―――って言うか、そういうところを味わう感性が今の人ってすごく乏しいと思うから―――。今の人って衝撃だけを求めてる感じがするでしょ。そうじゃないもの―――浄化作用って言うかね、そういう感覚がないと。音楽をそういう風にしか楽しめないのって幅が狭いし、どんどんつまんなくなっていくよね。
勿論、アップテンポの曲とか衝撃性もスキだけどね。例えば、アート・オブ・ノイズのオーケストラ・ヒットに代表されるような極めて西洋的なぶち壊し方とかね。でも、そういった事よりも風の流れとか木々のせせらぎですとかね、そういうところがベースにないと僕はイヤなのね。窪田なんかも同じだと思うんだけど、音楽人間である以上、音楽の快感をベースにした上で作っていきたいからね。
音楽って時間芸術だと思うからね。時間の中で、どう流れてどう幻惑してどんな風に魔法をつけていくか―――みたいなところだと思うんだ。最初から衝撃を求めて行っても麻痺しちゃって、最後には何にもなくなっちゃうのね。音楽って本能的なものだと思うから、壊して行っても出鱈目しか残らないと思うのね。だから自分が気持ちいいと思える音楽ができればそれでいいんですよ。僕の作ってるものが目指すものは絶対みんなにわかってもらえると思うしね。」

Young Genius

「より自由にやっていきたいね。PINKも窪田くんとのプロジェクトも。カメさんとバナナのやってるドラムトラックスっていうのもオモシロい。バナナって天才だと思う。僕も天才だけど。(笑)それには宇辺くんもからんでくると思うから。
まぁこれはオフレコっぽいんだけど―――、課外活動の方もガンばって、PINKはより自由にね。
もう少し売れたい―――と思ってますんで。」

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