「マニアック・ワールド」という特集の中で、エコーズ、ARB、M-BAND、モッズ、レッド・ウォーリアーズと共に紹介されている。
<メンバー>
福岡ユタカ ボーカル担当
スティーヴ衛藤 パーカッション担当
ホッピー神山 キーボード担当
岡野ハジメ ベース担当
矢壁アツノブ ドラム担当
渋谷ヒデヒロ ギター担当
ピンクはふところの深いバンドなんだ。
「僕たちって誤解されやすいんだ。いい意味でね。ポップで親しみやすいから、ある人は歌謡ポップス・バンドだというし、フュージョン系が好きな人からは、”演奏がうまい”とテクニック派集団だと思われていて、また、アフリカや中近東、アジアの民族音楽を取り上げているところから、世界に通じるロック・バンドと感じている人もいるらしく、さて、一体ピンクって、なんだろう・・・ということになるみたい」(福岡)
つまり、いろいろな器があって、どれにでもあてはめられるのがピンクの音楽なんだ。
「他のバンドとは才能が違うよ」とズバリ言いきるリーダーの福岡の自信は、そんな器の大きな音楽性を持っているところから出てくるのだろう。例えば、レコードが良くてライブがおもしろくなければ、そのバンドの魅力も半減しちゃうよネ。
「昨年の全国ツアーは予想以上に反響が大きかったな。男性ファンの数が増え、女性ファンの層が広がった気がする。下は中学生から上は20代のOLまで、ピンクのファンって、いろいろな音楽を聴いている人が多くて、耳が肥えているよ。僕たちの歌にはメッセージなんてないから、メロディーとリズム感覚でわかる人にはわかるんじゃないかな。メッセージなんていう時代じゃないからね」(福岡)
「メッセージを伝える速度よりも、時代が移り変わるスピードの方が速いってことだな」(矢壁)
「それに日本語って、外国じゃまだ通用しないから、日本語の歌詞にメッセージを託しても仕方がないよ」(福岡)
リーダーの福岡を中心にセッションを繰り返し、2年前あたりから今のメンバーに固まったピンク。昨年’85年にグラム・ファンク・バンドとして衝撃のデビューを飾る。
ピンクは世界をめざしている。
「日本だけって限らずに世界をめざしたいね。足もとばかりを見ていないで、もっと遠くをみつめたい。あちらのロックが聴けて、向こうでは日本のレコードが売れないんじゃ平等とは言えないでしょ。これは貿易不均衡ですよ、ゼッタイ!!」(笑)
なるほど。日本の大物アーチストの中には今年あたりアメリカやイギリスへ進出しようと密かにチャンスをねらっている連中もいるけど、海外でコンサートをしたり、レコードを発表したりという形だけでなく、具体的な成果をねらっているピンク。
その足ががりともなるニュー・アルバム(2月25日発売)について、リーダーの福岡ユタカは、
「『光の子』っていうタイトルは、3つのイメージから思いついたんだ。強烈で、スピード感があるけど、どこかはかないものっていう感じ。そのイメージが今回のアルバムにあるんだ」
デビュー・アルバムは、わりとサウンドを重視していたけど、この『光の子』はメロディーとリズムと歌がうまくからんで、とても親しみやすい作りになっている。
「メロディーとリズムって、ポップスの基本だよね。つまり、ピンクを聴くと、音楽的骨格がしっかりするよ。インスタント・ラーメンばかり食べてないで、たまには違ったものを食べようってこと」(矢壁)
「情報が多過ぎるから、いいのか悪いのかわからないかも。若いコの中には感性の優れた人もいるから、そういうコにピンクを聴いてほしいな」
●ライブ 去る12月15日のラフォーレ・ミュージアム飯倉でのステージは、ダンサブルでかっこいいピンクが見られた。ニュー・アルバム発表後、3月29日の中野サンプラザを皮切りに全国ツアーへ。踊らにゃそんそん、というのがピンクのライブ。
●ファッション性 グループ名はピンクだけどメンバー全員、モノトーンの服が多いのはコレいかに!?
●時代性 SASをはじめ、みんなアフリカに目を向けている。ピンクも、もちろん!
「ザ・ベストヒット」1986年3月号掲載