カッコいい、豪快でいてスマート、小気味よい、じわじわと押し寄せうねる音、神秘的、ミステリアス・・・・・そんな言葉でピンクを語りたいと思う。そして4月5日の中のサンプラザ、ツアー・ファイナルを見て、それらの言葉にすがすがしさとリラックスが加わった。
彼らは約1年前にも中野サンプラザでライヴを行っている。それから1年、ピンクは成長した。観客動員も増え、のっけから客席、ステージ共にテンションが高い。
「NAKED CHILD」「BODY SNATCHER」「LOVE IS STRANGE」「SCANNER」と快調に飛ばしていく。上昇気流にあって、勢いを得たバンドのイキのよさが、伝わってくる。もともと元気のいいバンドだが、アルバム「PSYCHO-DELICIOUS」のセールスの好調ぶりがやはり彼らに自信を与えているのだろう。
青紫から赤紫へ、そして再び青紫になり、今度は赤へ。ミステリアスなムードを、センスのいい照明が盛り上げる。
ツボを得た、各自のプレイ、そしてピンクならではのユニークなフレーズを持つコーラスが、福岡ユタカのヴォーカルをあおり、共にせり合いながら、会場の空気を盛り上げていく。
ひとしきりのダンス・タイムが終わると、ミディアム・テンポの曲が続く。「KEEP YOUR VIEW」も、ここで登場する。おなじみになったサビのメロディーがとても美しく会場の空気に溶け込んでいく。
ひととき、何ともいえぬ清浄感に、会場は支配される。
ピンクのメンバーは、いい意味でひとくせもふたくせもあるような連中ばかり。けっこう男くさくて破天荒で、普段の彼らは”美”など解さない荒くれ男のような側面も見せるのに、いさ音を出すと、とても繊細で美しい側面をのぞかせる。私の中のうれしい謎だ。
最新シングルの「TRAVELLER」に続き、「MOON STRUCK PARTY」でメンバー紹介。全体的にパーカッシブなイントロに、エキセントリックなラップが続く。ドラムのカメさん以外は、全員がステージ前に出てくる。
客性もステージの上も、気持ちよくハイになっている。ビシッと決まったカッコよさを残しながらも、この日のピンクは時にリラックスした様子も見せ、そこにちらりと素顔の彼らがのぞく。それがまた、すがすがしい。
ラストの「ELECTRIC MESSAGE」まで、全18曲。躍らせ、聴かせ、起伏もあったけれど、やはり今の彼らの持つパワー
一気に盛り上げたステージという印象が強い。
アンコールでは、スティーブとホッピーが、ルンルン気分でおそろいのステップを踏み始め、歌うエンちゃん(福岡)の両脇に正座してその歌に聞き入ったりなど、ちゃめっ気ものぞかせる。普段の、幼稚園児がそのまま大きくなったような無邪気な彼らを思い出し、ふと笑ってしまった。
プロとしてのキャリアとテクニックをしっかりと持ちながら、いつまでたっても、自分達が楽しむというアマチュアリズムを忘れない連中だ。
今年のピンクは、やっぱ目が離せない。
(角野恵津子)