サウンドのスケールが拡がって大きく飛躍!

本当によくわかっている人達だなあ、PINKのレコードを聴くたびに僕はそう思う。どこをどういうふうにしてやれば、カッコイイ音ができあがるか、彼らは本当によく知っている。しかもそのセンスを決して安定サイドだけにふらず、常に新しいアプローチをすることを忘れない。そこが彼らのタダ者ならぬところだと思うのだ。
さて、このアルバムはそのPINKの3枚目。これまでの彼らのレコードを気に入っていた人なら、文句なしに満足できる仕上がりだ。独特の疾走感を持つアップ・テンポのナンバーでは、PINKならではのスリリングな音を聴かせ、一方バラードの美しさも健在。今回は余裕のようなものが加わってさらにサウンドのスケール感がアップした。これまでの2作は、緊張感の連続で体調が良い時じゃないと、少し疲れてしまうようなところがあったが、今回はとてもバランスが取れている。力の抜き方がうまくなった、そんな感じだ。吉田美奈子や窪田晴男を始め、これまでになく多彩なゲストを迎えていることも無関係ではないだろう。アルバム全体のまとまりもいいし、欠点を探すのが難しいくらいだ。彼らを代表する1枚になるんじゃないかな。
(藤木達吉)