毎回毎回(まだ2回だってば)ロック界の強者による夢の競演で世界中の若者の耳目の興味の対象となっている ON STAGE二次元バトル。第1回は渡辺香津美vs窪田晴男の熾烈な戦いに息を飲んでしまったろうが今回も又すごい。片や色の名前がバンドの名前になったグループの中では現在、最も歴史があるだけでなく、実力派としてその名も高いPINKの岡野ハジメ。そしてもう1人は女性ベーシストとしてはロック界最古参の噂もあるゼルダの小嶋さちほ、二人の対決や如何に。

岡野 最初ベースって好きじゃなかった。だって目立たないから。
小嶋 わたしも(笑)。

―――最初は何で弾いたんですか?

岡野 は?(笑)急にこれは専門的な。

―――最初はピックで始めたとか・・・・・。

岡野 ア、あれね、チョッパーか指か、ピック。どれかっていう、トゥーフィンガーか、あれね(笑)。私、指でした。最初っから。

小嶋 私ピックだったよォ。ニューウェイヴだったから。

岡野 あー、なるほどネ。それはパンクの。

小嶋 そう。だって、ストラングラーズとかがやっぱりほら、ベーシストなんて誰も名前知らないとか顔しらないとかいう時代だったじゃない。でも、ストラングラーズとかね、結構ベースがバリバリ前出てたから、あ、カッコイイものなんだって思った(笑)。

岡野 そうだなァ、やっぱあの音だったらピックにいくよなー。俺は、なんで指で弾いてたんだろ。理由はないですね。覚えてないけど、でもねぇ、ピックでは絶対に弾かないっていう主義があったの、一時期。今はピックでも弾くんだけど、何か俺はピックでは弾かないって思っていたけど、一体何だったんだろう。
最初は日本のロックのコピーしてたの、ミカバンドとかさ。最初に組んだバンドがミカバンドのコピーバンドなの。初期のロックンロールブリブリの。で、僕はそのまんま、ギンギンの方に行きたいなと思ったんだけと、浦和の連中だったのね、そのバンドが。で、浦和の界隈ってホラ独特のものがあるじゃない、URC(浦和ロックンロールセンター)とか。で、あっちの方面の人がねぇ、ミカバンド以降は地味な方にいっちゃったんですよ周りが。
だからあの辺の日本のバンドをコピーしてやってた時期っていうのが高校生の時だった。それでかもしれない。だって細野(晴臣)さんも指だったし、小原(礼)さんも。小原礼さんがすごい好きだった。今でもすごい好きだけど。ミカバンドの頃はまだ地味だったでしょ。でも解散してからほら、「バンブー」とかで。アレすごい ”あ、ベースってカッコいいんだなー”(笑)とか思って、初めてあれで16ビートというものを知って(笑)、カルチャーショックだったんだよねぇ、すごい。
なにしろ僕はベース好きじゃなかったの、最初は。だって(笑)めだたないもん。

小嶋 私も。でも、できそうなのがねェ、ベースしかなかったの。バンドやろうと思って何もできないじゃない。どうせ何もできないから何でもよかったわけ。ただバンドやりたかったから。歌でも何でもよかったんだけど、とりあえずドラムは後ろでめだたないな、と思ったからいやだったのね、大変なわりに。で、ギターはやっぱり、リードギターがカッコいいってのは漠然とあったわけ。でもギターあんまり弾けないしと思って。で、ヴォーカルは、とりあえず歌は下手だし(笑)、そういう力量はまずないと思ったの。ベースしかないと思ったのね。

岡野 そういう人ってやっぱ多いよね。

小嶋 多いよね。

岡野 しょうがなくベースをやっているという、最近は何か最初からベースをやり始めた人って結構多いでしょ。

―――チョッパー以降・・・・・。

岡野 あ、チョッパー以降かな。あれがいいんだ!(笑)あれが。
僕はベースやめようと思ってたわけ。ひそかにグレコのフライングVを買って練習してたわけ。速弾きをしようと思ってやってたんだけど、そうこうしてるうちねー、ハードロックの時代なんかどっかいっちゃって。スライ(&ザ・ファミリー・ストーン)とかさ、ま、スライはもう昔からいたけどあのブラックのベイエリアのファンキーな、例えばグラハム(・セントラル・ステーション)とか、ま、あの辺のいわゆる凄腕ベーシストの・・・・・。

小嶋 スライね!カッコイイもんねー。

岡野 スライを聴いてね、それまでね黒人音楽を全然知らなかったの。

小嶋 あ、私も同じ!私もスライ聴いてね、ジミヘンみたいな感じがしたのね。何か分からないけど。で、カッコイイとか思ってそれで一挙に<黒人>が・・・・・。

岡野 なるほどね・・・・・。スライはショックでした確かに。

小嶋 私ずっと、ダダダダンっていうベースやってて、ウルトラヴォックスの1枚めみたいなベース好きだったから、ずっとそういう感じでやってたんだけど、もうリードギターみたいなつもりだったわけ。つもりっていうかやってることがね。今考えてみると、人と違うフレーズとか、2弦弾きでブンブンとか。そればっかりやってたのね。でもやっぱりファンクを知ってから、やっぱり一時ね、もうそんなベースはダメみたいに思って、ファンクのベースみたいになって、でも弾けるわけないじゃん、急に(笑)。
で、大分こう視野がせまい考え方だったって、自分の今までやってきたことがぜんぶイヤになっちゃったの。だけどそうこうしてるうちにどんどん立ち直ってきて、いや違うぞ、と。今は今までやってきたこととファンクのベースみたいなの同じようにして捉えられるのね。だから自分のやってきたことはやってきたことで、いいしね。おなじことなんだって。ただファンクを知ってから変わってきた、やっぱり。

後半へ続く>>