1st.アルバム「ＰＩＮＫ」レビュー記事（MUSIC STEADY）

PINKのデビュー・アルバムは新人らしからぬ、まさに練り上げたという感じのコクのあるふくらみを持った音が存分に楽しめるものだ。もっとも彼らのこれまでの活気を知ってる人にとっては何の不思議もないだろうが、それでもバンドの音をこうしてカッチリとレコードにするとなれば誰でも成功するとは限らない、いや、失敗する方が多いんだから、やっぱり彼らは新人離れしている。
バンドのコンポーザーでリード・ヴォーカルの福岡ユタカの声量にまず注目したい。普通だとシャウトしてごまかすようなところもハリのある安定した声質をキープ。こればバンドの音全体の疾走感を生んでいるし、そのスピード感とぜい肉をそぎ落したストレートなビート・サウンドはポリス的なものだ。そして、サウンドは例えばグラム・ロックなんかを連想させる味つけの曲もあったりする。なんていうのはほんの一例で聴くたびに何かしら発見のあるような懐の深さを持ち合わせつつ、カッコ良さという一線で均衡を保っている。
例えば、今流行りの表面的な派手さなんて、やろうと思えばいつだってできるものだという気が、そして自信があるのだろう。実にスタイリッシュに、ストイックにPINKは自分たちのサウンドを忠実にレコードにしている。それが成功の一番の原因だろう。
（菅　岳彦）