「あの、もしかしてPINKのみなさんて悪い人たちじゃないですか?」
「あぁ、悪いです。当然です」
なんつー会話という気もしますが、私はPINKの音楽を善と悪のどちらかに分けると絶対に悪だと思う。カッコ良いけど、それはイケナイカッコ良さで、JISマークなんて付きそうもない。初めて彼らに会った時の印象は、悪そうだなぁの一言に尽きたし(ゴメン)、新作の「PSYCHO-DELOICIOUS」(1月28日発売)にも、そんな匂いがプンプンとする。そしてその匂いこそはロックの匂いであって、口でいくら「ロック、ロック」と騒いでもニセモノには持ち得ないものではないかと思う次第。

それにしてもです。「PSYCHO-DELOICIOUS」は初登場でチャートの10位を記録しました。メンバーの中から思わず「まさか!」の声が上がったのは悲しい話ですが本当です。インタービューにも応えてホッピー神山さんは、「CMもあったし、単純に今回はプロモーションの量が多かったんだよね。それまでは名前は知ってても顔は知らない、みたいな人にようやく僕たちが浸透したからじゃない?」と控え目、かつ、クールな発言。それでも、ヒットの時期はPINKにとって早かったか、それとも遅いくらいかと質問したら、「こんなもんかなぁ」・・・考えつつ「でも早いってことはないよ」とスッパリ。

「苦労して長年やって売れましたってヤなのね。苦労を背中に背負った音楽ってヤなの。やっとフォーク時代から立ち上がりました、みたいなのってあるでしょ、いきなり変身しちゃって。それはそれでいいのかもしれないけど、PINKには似合わないし、自分たちに自身があるんだったら、それだけ早く火がつかないと先に進めないと思うんだ」

「別に評価されるつもりはなかった」と、絶賛する評論家諸氏をシビアに見るのも自分達の音楽に対する自信故でしょうか。
「僕らPINKでやってることは6人が集った時にいちばんカッコイイことができるというのを頭に描いてて、その結晶なわけ。個人個人の趣味ってのは別で、エゴを出していけばいわゆる評論家ウケするものも出てくるんだろうけど、PINKはメジャーなカッコイイものを作ろうって集ったメンバーなの」

「PINKは大衆音楽をやっています」と言うからには、通ウケしてても仕方ない。
「日本でメジャーになれるロックって、歌謡ロックでしょ?僕たちはそういうんじゃない、媚びないカッコアでシーンの針の穴を突きたいんです」

大沢誉志幸、吉川晃司、小泉今日子と、今をときめくポップ・スターたちがPINKのエッセンスを取り入れたがるのも、彼らがメジャーなカッコ良さを持っていて、ロックを大衆に持ち込めるパワーがあるからなのですね。

「PATi・PATiを読んでる若い人たちって、僕らのことどう思ってるのかな。すごく知りたい。書いといてくれません?PINKに手紙を下さいって」
ホンモノのロックでメジャーになれるか!? 若い人たち、イケナい音楽ってヤツを一度試して下さい。プリーズ。

 

写真左より、”ハイトーン・ボイス”福岡ユタカ、”サイコ・パワー”矢壁アツノブ、”白目向いてしか写んないから白目で写っちゃった”ホッピー神山、”エキゾティック・アタック”スティーブ衛藤、”グラムの咆哮”岡野ハジメ。