去る6月8日(日)、日比谷野音で行われたANN CALL’86のジョイントコンサートにPNKも参加。自然に体が動くようなダンサブルなリズムが会場全体に鳴り響くと、もうそこはPINKワールド。そのサウンドは夏の野外にぴったしの開放的な雰囲気にさせてくれた。
その日のステージの感想をメンバーの3人に聞いちゃった。
「基本的には、ああいうお祭りは好きなんですけど、今、レコーディングのリハーサルでスタジオにこもりっきりになっていて、リラックスしてステージにのぞめるほど心に余裕がなかったのが残念でした」(矢壁)
彼らのステージを楽しもうという姿勢そのものが、PINKの音楽の楽しさにもなっているよ。
「他のアーチストって、わりと肉体派というか、”ノってるか!”って具合に、動いてグイグイのせる感じでしょ。僕たちはそんな肉体的な面と、緻密な機械作業の部分をうまくバランス取り合ってステージ展開させなくちゃいけないんですよね」(渋谷)
歌のメッセージや、アクションでのせることも重要だが、音ひとつひとつを大切にするのが彼ら。いわば楽器のスペシャリスト集団なのです。だから、彼らのステージは、より完成された音作りに魅力がある。
「でも、お客さんが気楽にノッってくれるとうれしいね。昼間だったから、ちょっとステージにあがるのはずかしかったけど・・・」(一同爆笑)(スティーヴ)
7月26日(土)は後楽園ホールのステージが待っている。彼らの”夏”がそこから始まる。PINKを聴くと、音楽ってこんなに躍動的で、こんなに緻密なものなのかっていう新鮮な驚きがあるに違いない。そこからきみの音楽に対する興味も始まるよ!!
(’86ロック旋風児図鑑~最前線ロック★アーチストより)
豪華出演陣の異色顔合わせで大ウケ/アン・コール
6月8日(日)日比谷野音のステージに、ロッカーとアイドルが大集合。アン・ルイスの呼びかけで、昨年からはじまったこの企画、今年も豪華な出演陣及びゲストで大盛況!!
午後3時30分開演を前にして、空からシトシト小粒の雨。”やばいナァ~”そんな感じ。みんな白い雨ガッパを身につけはじめる。しかし、空は我らの味方だった。開演5分前には、雨もすっかり上がり、灰色の空から明るい日ざしがもれはじめる。
さあ、コンサートがスタートだ。アースシェイカーと荻野目洋子の異色顔合わせで、最初から客席は大ウケ。そんな雰囲気でステージは次から次へ多彩な顔ぶれが登場!! PINK、近田春夫、モッズの森山達也、シブがき隊、サンプラザ中野、古館伊知郎、湯江健幸、BOØWY、吉川晃司、織田哲郎、北島健二、チャーこと竹中尚人、子供ばんどのうじきつよしなど、それぞれの持ち味を生かしながら、ユニークなステージを展開。たとえば、シブがき隊のフッくんとサンプラザ中野の共演、BOØWYと吉川晃司の共演など、ファンのキミだったらビックリだよね。さらに、RCサクセションの忌野清志郎が登場して、コンサートはクライマックスへ。彼の歌うローリング・ストーンズの『ルビー・チューズディ』がイカしてたぜ!! そして『六本木心中』を歌うアン・ルイスの表情には、この大イベントを成功させた満足感がいっぱいだったよ。”また来年会おうネ”って、最後に出演者全員がステージへ上がり、大フィーナーレ!! ロックとか歌謡曲とか、ジャンルを越えた音楽の楽しさを味わえたイベントで、また来年が楽しみになっちゃった。
「ザ・ベストヒット」1986年8月号掲載