淡い色の電車が目の前を通り過ぎて行く
電車と自分の間の空気が揺れ
ゴトゴト言う車輪のリズムに
体の動きを奪われる
その音は何処か透き通っている
肌に当たる風は何処か冷ややかだ
一歩先の闇、覚醒、曖昧な感情・・・・・
気が付くと随分遠くに心が飛んでいた
淡い色の電車も消えていた

ターン・テーブルの上で
針が振り出しに戻った・・・・・

Words by MIHO FUKAHORI
Photos by HIDEAKI IMAMOTO

新しい12inchシングルの『TRAVELLER』を聴き、心がトラベルしてしまった。
PINKを聴くといつもそう。全く見たこともない情景が頭に浮かんだり、訳の分からない映像が目の前に浮かんだり・・・・・。
その秘密が歌詞にあるのかメロディにあるのかサウンドにあるのか、それは解らないが、とにかく現実から一歩でも離れられるということは、素敵なことだ。
音楽で、未来にも原始にも行ける。夢うつつで踊り狂うことも出来る・・・・・。
さて、マクセルのCMでお馴染みの『KEEP YOUR VIEW』に続く今回のこの12inch『TRAVELLER』は、ロキシー・ミュージックやXTC等を手掛けているスティーヴ・ナイのミックスという事で、なかなか話題になりそうでもある。3rdの『PSYCHO-DELICIOUS』もかなり好評の様だが、ヴォーカルのエンちゃんに早速話を聞いてみる事にした。

―――今回の12inchはスティーヴ・ナイのミックスという事ですが、どういういきさつで彼に頼む事になったんですか?

「まぁ、とりあえず向こうの人で、いい人で作りたいなって皆で話してて、色々候補はあったんだけど段々絞られてきて、でスティーヴ・ナイにコンタクトがとれたんで、とりあえず音を聴いて貰ってね、向こうは凄く忙しかったんだけど、あっこれだったらやろうって話になって・・・・・、直接は会えなかったんだけどね。ちょうど僕等がロンドンに行った頃に終わったくらいで・・・・・。」

―――で、期待どうりの仕上がりですか?

「うん、もともとそんなにガンガンと変な事をする人じゃないって知ってたから。うん、なるほどなって言うか、大体思ってた通り。本当はアルバムの方をやって貰いたかったんだけど、・・・・・最初アルバムは年内に発売の予定だったんですよ。それでスティーヴ・ナイにミックス頼んでたら時間が無いってことで、アルバムは日本でトラック・ダウンしたんだけど、せっかくコンタクトとったんで12inchやって貰って。でも結局アルバムは今年の発売になっちゃったんですよね(笑)。それならやって貰ったら良かったんですけどね。」

―――じゃあ時期が合えばアルバムも・・・

「そう、やってもらえたんです。惜しかったなぁ・・・・・。」

―――今回あの曲を選んだのは

「とりあえずスティーヴ・ナイってことでもあったし、一番良く出来た曲だったし。」

―――彼が選んだんですか

「いや僕等で、スティーヴ・ナイっぽいなぁって思って。この曲やって貰ったら面白くなるんじゃないかなっていう・・・・・。」

―――『TRAVELLER』はシングル用に作った曲なんですか?

「そう、シングル用に作った、サビは軽い方がいいんじゃないって、皆で・・・・・。」

―――作曲のクレジットはPINKですよね

「そう、最初は僕が作ったんですけど、サビができなくって(笑)、サビを皆で作ったんです。」

―――随分ポップなカンジしますよね。LPに入ってる曲に比べると・・・・・

「うん、急にサビでポップになる。」

―――聴き易さとか受け入れられ易さとかを前提にして・・・・・

「そうそう、シングル候補の曲を何曲か作ってて、で、CMの映像と合わせて見て、曲としては『TRAVELLER』の方がいいねって皆で話してたんだけど、余りにも明るかったんで絵とは合わなかった。」

―――で『KEEP YOUR VIEW』をCM用のシングルに・・・・・

「うん、他にも色々候補はあったんだけど、それこそ『SHADOW PARADISE』なんかもね・・・・・。」

―――やっぱりシングルにする曲には気を使いますか?

「まぁ、わかり易い曲の方がいいでしょう。急に『光の子』みたいなの出したって日本でヒットするわけないんだし、やっぱりシングル出す以上ヒット狙いたいからね。TVでCM流れるっていうのは、そう滅多に無いチャンスだから・・・・・。」

その(2)に続く>>