―――ところで『SHADOW  PARADISE』の間奏で何かエスニックな感じの弦楽器が入ってますけど、あれは民族楽器か何か?

「そう、サロールっていうインドの楽器。あれはね、あそこで民族楽器っぽいの入れたいなぁーって話をしてて、で、ホッピーがそういう人知ってるって・・・・・。若林さんっていう人なんだけど、この曲に入れて欲しいんですよって言って聴いて貰ったら気に入ってくれて、じゃあ、やりましょうってことで・・・・・。」

―――その人は全然ロック畑の人じゃなくって

「うん、全然違う、家に行ったらね、もの凄く沢山の民族楽器を持ってて・・・・・。」

―――すごくPINKっぽい音ですよね

「そうだね、印象的な部分だよね」

―――『光の子』と比べて今回のミックスはどうですか?

「まぁ今回は新曲だから、12inchって言うよりは、むしろジャンボ・シングルだから。12inchとは違ってシングルとして売りたいっていう・・・・・」

―――3枚目のと今回の12inchは、前に比べてジャケットのイメージも変わりましたよね

「まぁ1枚目2枚目と、何て言うか暗かったっていうのがあって、まぁ僕達はジャケットとかも自分達でやりたいっていうのはあるけど、僕等が作った音楽を沢山の人に聴いて貰いたいっていう意識の方が強いから・・・・・。まぁ音楽的に、もっと何しようとかそういうのは全く無いけど、大体それは出来ないよね、器用じゃないからさ(笑)。デコレーション過多とかは嫌いだしさ。」

―――『PSYCHO-DELICIOUS』のイメージ的なコンセプトって言うのはあったんですか?

「今回はあんまりないですね、そういうのは。『光の子』の時は少しはあったけど・・・・・」

―――『光の子』の時は?

「どっちかって言うと直線的なものだったと思うんだ。光って直線だしスピードも速いし・・・・・。でも今回はあるとしたら、そうだな、”風”だとか”流れ”だとか、割と自然現象的なところが多いよね。」

―――ところでライヴの方、この前はゲストの大谷レイブンさんがなかなか異色で・・・・・

「うん、楽しかったよ。」

―――次のライヴのギタリストは?

「うん、今回もゲストでやると思うけど、今度は割とシックリいいカンジなんじゃないかなぁ。前みたいに一種格闘技みたいにはならないと思う(笑)。あれはあれで凄く良かったんだけどね。今年は結構ライヴをやろうって思ってるんだよね。」

―――でも、アルバム出すペースが随分速いですよね。

「うん、レコード会社変わる時に、今度は2年で3枚くらい出してくれなきゃ契約しない、とか言ってたら、本当に2年に3枚のペースで(笑)、でもまぁ自分達で言ったんだから出さない訳にもいかないしね(笑)。」

―――割とすぐ曲は出来ちゃう方ですか?

「いや、もう全然(笑)。アイディアとかが頭に浮かぶ事はよくあるけど・・・・・、結構せっぱ詰まって書くことも多いよね、なんか8月31日の宿題みたいなカンジでさ(笑)。」

 

フォトセッションの間、終始ふざけ合うホッピーとスティーブ。それを笑って見てるカメさん。エンちゃんはいつも一人で何処か遠くを見てて、岡野さんはカメラに向かって毅然と立ちつくす。
アンバランスと言えばアンバランスなバンドだ。この人達の場合は、力を合わせて・・・・・なんて感じはこれっぽっちもしない。現に、以前メンバー別々にインタビューした時、他のメンバーの悪口がポンポン出たくらいだから(笑)・・・。それでも出てくる音楽は強烈。個性がぶつかりあって、あんな音楽ができるんだとしたら、その個性一つ一つも相当なモノなのだろう。
でも普段の彼等はビデオの話に夢中になったりとか、子供のようにじゃれあったりとか、緊張感の欠片もなく、私は未だに彼等の実態が掴めずにる。まぁ、そんなに簡単に理解出来る様な人達でないことは確かだ。

不可解なエリアで彷徨う彼等の音楽を聴き、私もまた不可解な幻覚を見る・・・・・。
解らない、未知だから、素敵なのだ。

 

『砂の雫』―――結構、若気のいたりの所はありますね、TDとか全部含めて。でも昔のレコードってあんまり聴かないよ何回も、飽きちゃってるしさ(笑)。

1st『PINK』―――昔からライブでやってた曲が多いから、勢いがあるよね、デビュー・アルバムってことでも・・・・・。

2nd『光の子』―――ファーストと比べて多少頭で作った部分って大きいよね。「光の子」とか、何かオリジナリティーの強いものが出来たりとか・・・・・。

『光の子』12inch―――初めて僕等が僕等以外の人に音を預けたって事で、すごく面白いと思うよ。12inchって遊びの世界って感じもあるから、自分達でやるよりも、ポーンっと預けちゃった方が面白いかもしれないね。

3rd『PSYCHO-DELICIOU』―――いいんじゃないですか(笑)。売れる要素もあるんじゃないかなって気もするし。

(談/エンちゃん)

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PINK『TRAVELLER』


皆に聴いて欲しい
CMの『KEEP YOUR VIEW』も好評で、そのせいか3rdの『PSYCHO-DELICIOUS』もオリコン初登場10位と、大きく飛躍しているPINKですが、ここに来てまた凄いシングルが出てしまいます。どうせなら前作の『KEEP YOUR・・・』よりも、こっちをCMにすればよかったのに・・・・・。だってこっちの方が全然いい曲!と言い切ってしまいます。でも『KEEP YOUR VIEW』がヒットして、そろそろPINKみたいなバンドにメジャー・シーンで大いに活躍して欲しいと思っている矢先にこの曲はホント嬉しい。いつもながらのPINK独特の幻想的で夢のあるサウンド、それでいてサビの部分は結構分かり易い、というかポップなカンジがして、これならPINKの初心者にも馴染み易いでしょう。で、B面の『SHADOW  PARADISE』と共に、これはロキシーなどでお馴染みのスティーヴ・ナイのミックスです、という事を書くのを忘れそうでしたが、誰がミックスしようが楽曲が良ければいいのです。(深堀)

「SOUND NEWS」掲載(1987年3月発行)