3rdアルバム『PSYCHO-DELICIOUS』が、アルバム・チャート初登場10位をマークしたPINK。これまではメンバー個人のプロフィールに負うところが大きく、側面から語られることの多かった”PINK”だが、昨年のロンドン・ギグ、全国ツアーでの成功を契機に、日本のNW(ニューウェーブ)シーンの動向と一線を画する広範囲にわたる安定した活動が、じわじわ評価され始めている。その回答ともいえる今回のアルバム・チャートの吉報は、彼らの実力派グループとしての自覚をいっそう強固なものにしたようだ。

4月5日、東京・中野サンプラザで行われた「PSYCHO-DELICIOUS ACTⅡ」のファイナル・アクトは、そんな彼らの余裕と、次なるステップへの期待感を、リアルタイムで体験できる印象深いコンサートだった。

オープニング・ナンバー「NAKED CHILD」から「BODY SNATCHER」、「LOVE IS STRANGE」と『PSYCHO-DELICIOUS』からのナンバーを次々と消化していく。シンプルな舞台装飾は、むきだしのビートをいっそう引き立てる。”踊る”という行為のために集まったフリークたちは、満足そうに触覚をユラユラさせながら、心地よい疲労感を楽しんでいるようだ。

後半戦、初期のナンバー「ZEAN ZEAN」、「YOUNG GENIUS」あたりから、意図してかプログラムと違う曲順で進行。一時期のPINKにとって名刺的な意味合いの強かった「PRIVATE STORY」は、最後までとうとう演奏されなかった。

PINKサウンドの集大成ともいえる3rdアルバムとそのツアーの成功。それらがPINKにもたらした影響は大きいだろう。4枚目以降、どんなスタイルを打ち立てていくのか。日本のバンドの中で、今、その動向にいちばん魅かれるバンドが、PINKである。

 

逆井オサム、ゲストプレーヤーで参加。後に正式メンバーとして加入。

 

「TECHII」1987年6月号

※サイト「TECHNOLOGYPOPS π3.14」様より、貴重な記事データをご提供いただきました。