PINK解散説を語る

---音楽を作る形態としては、セッション的なやり方とか、完全に一人でやるとか、今はかなり自由にできるようになってると思うんですけど、ホッピーさんは、そういういわゆるバンドとは違うやり方っていうのには興味あるんですか?

「僕は、やっぱり最終的にはバンドが好きなんですよね。だから、自分の活動でもバンドをメインにしていきたいんですね。バンドっていうのは、ソロなんかでやった場合なんかとくらべて、大きなことが作れるんですよね。一人でやると、そういうふうにはできないでしょ。僕が音楽をおもしろいと思うのは、いろんな要素が入ったときに、最初とは違った大きな意味を持ってくるっていうところなんですよ。そうなると、何人かのメンバーで作り上げてやってくっていうのが、一番素晴らしいものなんだと思うんですよね。洋楽を聴いてても、やっぱりバンドのものが好きだし、何かはかりしれないものがあるんですね、ああいうものって。口では表現しにくいけど、何か良いなあっていうね(笑)。だから、僕はバンドでやるっていうところでは、自分のいつも思ってるアップ・トゥ・デイトな感じのすごい実験的な音楽と、あと、音楽っていうのは絶対、リスナーっていう対象が必ずいるわけだから、それも考えてね、ギリギリの実験性とギリギリの大衆性っていうので音楽作りたいんですね。それで、それが商業ベースに乗ればベストだなっていうことなんですよ。どっちみち売れないと意味がないですからね。やっぱり、多くの人に認められないものはダメだと思うんですよ。たとえば詞にしても、マニアックになっていって、聴き手がわからないようなもんじゃダメだと思うし。やさしい言葉を使っているのに意味は深いみたいなね。そういうギミックを使うっていうのかな。それはすごいむずかしいことなんだけど、でもバンドをやっていくからには、そういうところで勝負したいんですよね」

---個人で作るのには興味はないんですか?

「いや、だからもし個人のものを作るとしたら、逆にもろマニアックなものにしたいんですよ。突き放すっていうか。僕は今までPINK以外にもいろいろやってきてますけど、やるときはできるだけメジャーな人とやるようにしてきたんですね。メジャーな人っていうのは、その人個人のキャラクターが強いですから、僕は、その人の持ってる大衆性を逆の方向から引っぱるみたいなアプローチをしてきたつもりなんですよね」

---じゃあ、最後にPINKを含めて、これからの活動の予定を。

「PINKのほうは、夏いっぱいまでレコーディングをして、それが出るのは年末か、来年の頭くらいになると思います」

---そうか。いや、一時期、PINKは解散するっていう噂が飛んでましたよね。

「年中行事ですね、もう(笑)。それで、来年にはライブもやって、もしかしたらライブ・レコーディングするかもしれない。あと僕個人としては、とりあえずPINKとは別に6月6日にPITで下山淳とやるんですけど、それは僕の新しいユニットとしてやっていきたいんで、それが来年に向けての動きってことかもしんないですよね」

---はい。あと、これは読者からの問い合せも多いんですけど、ホッピーさんの名前の由来というのを教えてください。

「昨日も六本木で唯一、ホッピーを置いている店で飲んでたんですけど(笑)、そのホッピーなんですよね。僕は、この世界入ってから10年くらいですけど、金のなかった時代だったし、今の若者に人気のあるようなチューハイとかなかったから。で、あれはジョッキだし、一杯250円とかで、千円で腰を抜かそうっていう(笑)。それは最初にやったヒーローってバンドのときについたんですけど、仕事中とかしょっちゅう『今日、仕事終わったらホッピー飲みたい』ってアピールしているうちについてしまったんです。僕自身は、安い酒だしイヤだったんだけど、ステージとかで一回でも言っちゃうと定着してしまうんですよね。それで、まあ、慣れというのは恐しいもんで、言われてるうちにだんだん平気になっちゃいましたね。由来はお酒のホッピーです。あと、ラジオとかでアナウンサーとかに聞かれたときの答えというのがあって、それは親が僕が生まれたとき、日本の高度成長期に、この子はホップ、ステップ、ジャンプの最初の段階、初心を忘れないような子供になるようにつけたっていう(笑)。で、町内会ではホッピーちゃんの愛称で親しまれましたって(笑)」

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「TECHII」1988年7月号

※サイト「TECHNOLOGYPOPS π3.14」様より、貴重な記事データをご提供いただきました。