メンバー全員が参加したテイクは1曲のみという、変則的なアルバム『RED&BLUE』を発表するPINK。
日本一の個性派集団、活動停止の事情と今後の展開やいかに?!
KL(キーボードランド)締め切りまでに話の聞けたふたりの考えは?

◆ホッピー神山インタビュー◆

1曲目の「ベルリンは宇宙」って曲は前のアルバムの残りテイクでね

神山 音はもうききましたか?

―――聴きましたよ。

神山 僕まだ聴いてないんですよォ(笑)。もらってないっていうね。

―――じゃあまだエンチャンの曲は聴いてない?

神山 エンチャンの曲でね、去年の春頃録ってた2曲は、僕が7月に自分のレコーディングやってた時に同じリールに入ってて、再生する時にチラッとかすったわけ。それでちょっと聴かせてよって言っても、これはでき上るまでダメって言われてね。だから、その時ヒュルヒュルっと聴いた以外は知らない。

―――1曲目の「ベルリンは宇宙」はホッピーとエンチャンの共作。

神山 あれは『CYBER』ん時の曲で、元々僕がほとんど作って、Aメロのところだけエンチャンがラップした方が彼のヴォーカル生きるだろうと思って。メロディっぽくしないでね。それであの部分はエンチャンが勝手にラップしてるから、ま、共作ってことでクレジットされてます。『CYBER』ん時に僕が4曲作った中の一番ポップな曲をわざとハズしたっていうヤツで。他の曲はみんなポップなんだろうと思ったから、あえて自分の曲はポップなの入れたくなかったんであれをハズして、お蔵入りになってたのを今回復活させてね。だからあれは、今回のLPで唯一、スティーヴを含めた6人が全員でやってるっていう曲で、あれこそピンクかなっていうネ(笑)。

―――ホッピーの他の2曲について。まず「小さな男の大きな夢」っていうのは?

神山 1曲目の「ベルリンは宇宙」っていう曲がベルリンをテーマにしてるでしょ。それと、去年かな?ベルリンの何年祭か何とか祭があって、ベルリンに関した映画もけっこうあったりとか、ベルリンっていうものを見直すっていうのがあってね。僕はすごい行きたい所で、ベルリンに憧れてるんだけど、それでベルリンをテーマにしたものをやりたくて。そしたら、1曲めに宇辺クンが「ベルリンは宇宙」っていう詞をつけてくれたから、他の曲もデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」じゃないけど、ベルリン的なものをテーマにしてやってみたいなと思ったわけ。僕にとっては想像でしかないベルリンなんだけど。6月、7月に布袋クンのレコーディングでロンドン行った時に、エンジニアのマイケル(ツィマリング)もベルリンのヤツだし、他にもよくベルリンを行き来してるヤツと話をしててね、聞いたら、ベルリンっていうのはねヒットラーの夢のかけらだって言ったのね。大帝国を作りたかったんだけど、手に残ったのはね、わずかながらのアレしかなかった、片手に握った砂しかなかったようなもんだっていう、その夢のかけらだっていう言葉がすごい印象に残ったのね。それで、あの「小さな男の大きな夢」っていう曲は、これをふくらました詞を作ってくれって言って、サロンの仁見チャンに詞を発注したんだよね。それって、人間はいつでも常に何か夢を追いかけて、それで一時は大っきなものをつかむけど、最後に残るものは自分自身とほんのチリだけだったりするわけでしょ。そう考えてみると人間の生き様をわかりやすく表したものがヒトラーの生涯だったような気がするんですよね、屈折した感じがね。ホントはユダヤ人だったかもしれないっていう説もあるし、彼の奥底にある気持ちとかね。自分やユダヤ人でありながらユダヤ人を殺しちゃったとかね。だから、すごく人間的だと思うのね。冷酷だけども、すごいヒューマニティのある人だったんじゃないかと思って、そういう詞を書いてくれって言ったら、仁見チャンはああいう詞を書いてくれて、題名はすごいカワイイけど、あの題名も気にいってるんですよ(笑)。すごくわかりやすい詞だし、すごい満足してます。

 

結局なるようにしかならないんだけど、ヒューマニティは必ず残るよ

―――もう1曲「ICON」は?

神山 あれ、もしかすると神話の中だとイコンって読むんですけどね。ギリシャのあれだから。それに去年亡くなったNICOのニックネームの元もイコンだから。ま、あの人もドイツ生まれの人で、僕はNICOってすごく好きなのね。あの人の生き方とか。作った歌とか聴くとすごく悲しげなのね。アーティストの中でも最も落ちてった人だと思うしね。特にNICOに対して曲を作りたいって思ったのは、死ぬ前に3月にライブ見た時に、いつにもなくすごい調子良さそうだったのね。これはひょっとして、今後活動を始めて調子良くなるのかなと思いきや、それから半年もしないうちに死んじゃったっていうのがすごいショックでねェ。だからいちおうNICOに捧げてるんだけど、でもただそれだけじゃなくて。サビで言ってる ”千の光が体を突き抜ける”っていうヤツはね、たとえば星空をあお向けになってずっと見てると、星が集まってきて体を抜けてくような気持になれる、それだけピュアになれる時ってあると思うのね。その瞬間っていうのを持っていたいなっていうことなんです、あれは。まあ、あんまり説明するのもあれなんだけど、あの”狂気の指まさぐる時”っていうのは、普通に人間同士の指の触れ合いっていうのもあるし、核爆弾のボタンを押す時の狂気の指でもあるしっていうけっこう引っかけた意味なんだけど。だから、そういう去年のうちに考えてまとめ上げたテーマっていうのを、一気に終結した詞で、すごい言いたかったことなんですよ。であと、PINKに対しても言いたいこともあったし。それもただ反論っていうか、PINKに対して抗議するっていうんじゃなくって、あの、僕はこういう希望を持っていたっていうところを出してるし。PINKに対してっていうのも、普通のこの世界にいる人々に対しても一緒なんだけど、やっぱり”なるようにしかならない”っていうことなのね。必ず人間、運命っていうものがあるし、人を愛したりするヒューマニティーっていうのはいつでも残ることだよっていうことを言いたかったのね。だから、PINKに対して、どうしてもできなかったこととか足りなかったことを、このへんで遠回しに言いたかったのね。バンドなんていうものは長続きしない、いつか絶対解散するものだけど、何かやっぱり残るもんだしね、人がそれを聴いて勇気づけられることもあるし楽しむっていうこともあるし。だからその、自分たちがやってるのと人がやってるのを聴いたりするのの混沌としたところを、わりとキレイに詞にのせたっていうところもあるんですよ。すごく、夏前頃には複雑な気持ちになっててね、まPINKがなくなるってことじゃなくていろんなことをけっこう考えちゃって、ハマってたんですよ。でもこの詞を自分で作って歌ったことによって、けっこうスッキリしたのね。清算できて、また何かやろうっていう勇気が出てきた。あの時は、夜中から朝までずっと空ながめてたりして、すべてのことに失望しててね。

―――この後の予定は?

神山 2月にこれがでるとですねェ、2月の後半にもしかすると布袋クンのソロのライブをロンドンでやるかもしれないっていうのがあって。それで1週間ぐらい行くかもしれない。それと前後して、東京少年の2枚めのプロデュースがあって、それから4月には泉谷のニュー・アルバムの録音。それから、今ゆっくりやってる下山とのニュー・バンドの準備に、本腰入れて取り掛かろうかっていうところですね。やりたいのはバンドだから、音はこれからセッションしながら作っていきたいです。

 

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