ピンクの中心人物は、他でもないこの人。福岡ユタカ(通称エンちゃん)は、クセ者揃いのピンクにあって、ひときわクセの強い人である。まずはバンドについて。
「ピンクは、アソビが母体となってできたバンドなんです。原宿のピテカントロプス(現クラブD)が一番面白かった頃、そこにタムロしてた連中の中で何人か面白そうなのに声掛けていろいろやってるうちにできちゃったんだ。みんなで一部屋借りてアソんでたこともある。そんなだからヘンにパワーあるんだろうね、いまでも。その頃の僕の仲間って、ミュートビートとか、じゃがたらとかもいたね。彼らのライブに飛び入りしたりしてた。でもピンク結成した時は、その中でもヘンなのが集まっちゃったな~と思ったよ(笑)。と言っても、音楽的に面白い人とやりたいってのがあったから、こういう顔ぶれになったんだけど」

結成当時はガッチリしたバンドというより、「流動的なユニットのつもりだった。パーラメント(黒人の強力なプロジェクト)みたいなね。その方がおたがいに自由でいいじゃないって。まだレコードとか事務所の問題とかなかったから。やってることもメチャクチャで、いざレコード作る段になったら、曲になってない曲が多くて困ったけど(笑)。普通ならそこでポシャルんだけど、みんな実力あるもんだから、無理矢理やっちゃった」

というような苦労があったものの集まった顔ぶれを見ると、明確な共通点はあった。
「みんないろんな音楽が好きってことと、新しいものが好きってのが共通してる部分で、だからやれたんだと思う」

彼自身も然り。最近は面白いのがないからレコードはあんまり聴かないと言いながらも民族音楽から三波春夫まで聴く。そして科学雑誌を愛読し、古代史に興味を持つ。要するに、いまチマタに溢れていないものに関心がある。
「そんなに、いろんなことに関心を持つもうほうじゃない。ナショナルなことが、結局インターナショナルなんじゃないのかな。僕は(流行を気にするより)やりたいことをやれればいいと思ってる」

ピンクのイギリス進出もその結果であり、実際に行ってみてまずますその思いを強めたと言う。しかしその裏には、やるからにはクオリティの高いしっかりしたものを、という彼らのガンコさがあり、負けん気がある。だから歌詞をちゃんと現地人に通じる英語にしたり、発音にも充分気を配ったりといった努力がなされている。
本音を言えば努力なんかしないでスンナリやれるほうがカッコいい。でもカッコよくやれるためには努力を惜しまない。ただし、外から見えないように。

必要なものは拒まない。新しくていい音楽が好きな彼らは、新しい楽器やコンピュータ導入も早かった。それをエンチャンはこう言う。
「音楽もテクノロジーとつきあっていかなくちゃならない時代だから、当然だよね。ただ僕はボーカルだから、その点では歯がゆい思いをする時もある。コンピュータ使って新しい音にするとかできないからさ。でも声ってのは究極の生楽器だし、僕の声は他の誰も持っていないから」

オリジナリティというものに彼は最大限の注意を払う。それでいてポピュラリティもなければダメだと念を押す。ピンクが強力な個性を発散するのは、音そのものの彼らの音楽そのものに、こうした明確な主張が込められているからだろう。

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