ホッピー:で・・・・。エート、何だっけ?
―――あっ・・・・。あ、その調子ではでにやってたんじゃツアーの最後なんて・・・・。
ホッピー:もうサンプラなんてデタラメじゃない? 火は出るわデタラメ。(笑) メンバーがデタラメになればお客サンもね。PINKのステージ見る人はフォークやニューミュージックの曲聞きたいわけじゃないから。やっぱ体動かして踊ったり楽しみたい人多いから。
―――はでだとドラムは特に疲れない?
カメ:疲れるけど楽しければイイ!
ホッピー:でもどっちかっていうと早いほうがイイよね、カメ。バラードより。
カメ:そう、ニュアンスもんヘタ。(笑) だからバシバシ叩いてるの好きなの。みんな実はヘタなんだよ、遅いの。
―――性格的にもそうだったりして。
カメ:あるね。せっかちで飽きやすい。
ホッピー:前ノリでツルツル!(笑) 中身はそれぞれ違うんだけどね。
カメ:(突然、インタビュー録音中のテレコを見て)アッ、これすごい!イコライザーついてるじゃん!
ホッピー:俺のと同じだよ。(とイバる)でもこれね、こう低音と高音バンバン上げると(勝手にいじってる)ディスコで聞いてるみたいになるヨ。
―――あのう。別にディスコで聞く感じにならなくてもイイんですけど。
カメ:ハハハ、そうだよ、うるさいヨ。
ホッピー:だって!はでなほうがイーじゃん、聞くのはさ。(ムキになる)
≪ここでしばらくインタビュアーのためのイコライザー(EQ)講座で取材中断≫
ホッピー:悪いQでもEQ!(一同笑)
カメ:いいアルバムはELP。(しーん)
―――(気を取り直して)ライブのオープニングのときってどんな気持ち?
ホッピー:今日も一発やってやろう!って感じかナ。でもあまり考えないね。アガらないしサ。ぜんぜん。どっちかというと小さい所のほうが嫌。手元見られるのヤなの、ヘタだから。(笑) 逆に大きいほどイイ。人間が欧米並みだから。
カメ:欧米並み!
ホッピー:ウッドストックで50万人とかが一番イイねェ。(・・・・・話が大きい)
カメ:今回のツアーは一番最初に一番大変な曲きたから、できるかなあと・・・・・。
ホッピー:1曲目クリアすればね。
カメ:そう、あれが一番苦しくて、おかげで左足のほうが太くなってズボンきつくって。(と、見せる)
ホッピー:あらっ。あらららら・・・・・。本当だ! ×××だ、×××。(特に、伏字)
カメ:ぜんぜん違うんだもん、まいるよ。
ホッピー:ベードラ連打のせいでしょ。なら次から、右足でやればいいんだよ!
カメ:足の筋肉はそう簡単におちない!
―――大変ですねェ。ホッピーもキーボードの機材多くて大変でしょ?
ホッピー:もう大変!ふつうプログラマーともう1人キーカードがいていいところを1人だもん!しかもコーラスも。
カメ:大変、大変。(半分、他人事)
ホッピー:いってやってくださいよ!本当はね、機械ゴチャゴチャいじるのカッコ悪いし、嫌いなんだよネ。
カメ:マスター・キーボード1個で弾きまくるのがイイよね。
ホッピー:音色変えは人に任せてね。そうしたらほかに気使えるし、お客さんをエンタテインさせられるのに!少し前のテクノの時代ならイイけど。だいだいPINKって機械バンドじゃないし。
カメ:僕もドラムの音のチェンジめちゃくちゃ今回多くて、大変なんだ。
ホッピー:ねぇー!!しかもむくわれないんですよね、細かい作業だから。
カメ:俺、ぜんぜん休めないしさぁー。
ホッピー:でも音、大きいからいいじゃん。(笑) キーボードは隠れちゃう。
―――今回はハッピー・トークではなく(前回の対談)むくわれない者同士の対談にしましょう。(笑)
ホッピー:そうそう! 愛の手をさしのべてほしい!
そういいながらもシッカリステージを楽しんでいる2人。
「昨日なんかアンコールの”TRAVELLER”で輪唱しちゃってさあ」とカメ。「エッそんなことしてたの!コイツ」と、自分のプレイに夢中で気づかなかったホッピーは悔しげだ。昨日は2人とも金沢のディスコで台の上にのっかり(!)大騒ぎだったらしい。けれど耳だけはいつもシッカリ周りに敏感反応している。好奇心と探求心が彼らのビートを、増殖させる。
横浜。すでにアンコールはホッピーの言葉どおり「前ノリのグリグリ」のリズムの応酬。それでいて流麗なメロディとも見事な歩み寄り方を見せる。特に、2度目のアンコールでの新曲「TRAVELLER」はそのいい例だという。ぶつかるメンバーの自我が崩れる寸前で美しく調和する。「エネルギー保存の法則ですよ」と笑っていたのはカメだ。
「GB」1987年5月号掲載