新しい時代を感じさせるバンドが、それがPINKだ。大沢誉志幸のバックなどもつとめ、すでに前評判は高かったPINKだが、6月25日にシングル「砂の雫」(FUJIカセットTVCFソング)で、ついにデビューを飾った。
元ビブラトーンズの福岡ゆたか(Vo)、矢壁アツノブ(Dr)、元ショコラータの岡野はじめ(B)、渋谷ヒデヒロ(G)、それに神山アキオ(Key)、衛藤タカト(Per)というのがPINKのメンバー。

「ビブラトーンズの後に色々なセッションをやっているうちに、たくさんの人間が集まってきて、一時期10人以上になったけど、昨年の秋頃に今のメンバーになって、PINKができた」(福岡)
「今までなかなか感性が合うバンドがなくて、色々なバンドに参加してた。でもフラストレーションはたまるばっかりで、ちょうどその頃同じような人間が集まったんだ。今は真剣にPINKに取り組んでるヨ」(岡野)

顔ぶれを見ただけでも、その音がどれほどのものかがある程度は予想ができる。しかし、ライヴでのPINKは、その予想をはるかにしのぐほどハイ・テクニカルで、エネルギッシュで、ダンサブルだ。特に福岡ゆたか、通称エンちゃんの日本人離れしたパワーとリズム感を持ったヴォーカルの迫力は凄まじい。

「やるからにはメジャーにならなくちゃいけないと思ってるんだ。で、出来れば海外へのアプローチもやってみたい。色々なことを学ぶためにもネ」(福岡)

インタビューする前に、すでにレコーディングを終えた数曲入りのテープを聴いた。そこでハッキリしたのは、PINKが新しいムーブメントを作る可能性を十分に持っているということだ。デビュー・シングルの「砂の雫」でのPINKの本領は完全に発揮されていない。ライヴで最も人気のある「ZEAN ZEAN」、「MOON STRUCK PARTY」。このあたりの曲の独特ののりこそ、PINKの魅力という気がする。この2曲は、9月にリリースが予定されている12インチ・シングルに収録されるので、ぜひ機会があれば聴いてみてほしい。そして、年内にはアルバムのリリースも予定されている。しかも、このレコーディングは海外で行われるという計画もある。

「やりたいことはとにかくいっぱいあるんだ。海外でもレコーディングしてみたい。イギリスあたりでネ。レコーディング技術とかそういうものを知りたいこともあるし・・・。これまでにPINKでレコーディングした曲も、日本のものとしてはかなりレベルは高いけど、まだまだ満足していないんだ」(岡野)

PINKのサウンドは、これまで例を見ないほど、大胆で奇抜なアイデアから生まれている。これをさらに海外でレコーディングするとなれば、よりインパクトのある音になることは間違いない。

「でも、良いプロデューサーを使えばそれで全て決まりっていうのには、いささか疑問があるヨ。スティーブ・リリィホワイトは好きなプロデューサーだけど、あの人にたのむと出来る前からどんな音かわかってしまうしネ。最近ギミックの多い音には少々飽きてきてる。シンプルな良いメロディーと良いサウンドをPINKで作っていきたいんだ」(福岡)

PINKはハイ・テクニカルでエネルギッシュなダンス・ミュージックを披露する。が、その一方ではハートのあるメロディとフィーリングも持ったバンドだ。新しい刺激を得るためにも、PINKはマークすべきだ。

(山田道成)

photo/Sumio Kitagawa
「ARENA37℃」掲載記事