2ndアルバム『光の子』に封入されていた三つ折りのライナーノーツとフライヤー。
音楽雑誌「Player」のライターよるバンドの紹介文、各メンバーの写真&プロフィール、収録曲についての短いコメント、ツアースケジュールなどが掲載されている。
未来と原始が出会う。
一瞬を永遠に溶けこませる音楽集団PINK。
未来と古代をつなぐ時間軸の線上に突如現れた音楽集団、それがPINKに出会った時の第一印象だった。名ばかりのポップ・ミュージックが横行し、言葉のリアリティが色褪せ、目の前から削げ落ちていこうとしている時代なだけに、その衝撃は大きかった。
有無を言わせない豪放なビートに、繊細かつ美しいメロディーとハーモニーが絡み、様々なジャンルを飲み込んで誕生した、彼らならではの音世界。実際、彼らが登場すると、どんな場所だろうとそこはダンス・フロアと化す。地響きを起こす強力なリズム・セクションと、ナイフのような切れ味を見せるシンセとギターのリフ、そして何といってもエネルギッシュかつ透明感あふれるヴォーカル。ライヴを体験した人間なら、誰もがいっぺんで彼らの虜になってしまう。アップ・テンポの曲では整合感あふれる完璧なビートに打ち出された壮大なうねりを、スロー・テンポの曲では限りなくしっとりした叙情性を、といった具合の極端な振幅。この振幅の大きな音楽性こそがPINKの最大の魅力だ。聞く人間の意識を、それも言語化される以前に持ち得た潜在的な記憶を揺さぶる。
閉塞状況に追い込まれつつある現在のロック界に舞い降りた極楽鳥の群れ。過去や未来の時間の流れと交差し、SFと神話を合体し、自分達を取りまく状況を活性化させてゆくPINKは、音楽にまだ残された”可能性”があることを教えてくれる。
AKIRA OKAMOTO PLAYER MAGAZINE
MEMO
「光の子」
タイトルチューン。ファンク・ビートとガムランのポリリズム。網の目のようなリズム。ステディな世紀末へ飛翔する光の子たち。
「SHISUNO」
萩尾望都『銀の三角』に出てくるラグトーリンが奏でる歌のイメイジ。ちょっとした遊びの小曲。
「日蝕譚」
うねるようなビート、絡み合うメロディーと詩。作詞は吉田美奈子。
「HIDING FACE」
どこまでも終わらぬようなメロディー。そして解決を求めながら、繰り返しゲームを続ける男と女。
「GOLD ANGEL」
ギターの渋谷の詩。シュールな内容は彼がよく見る夢の風景のようです。
「DON’T STOP PASSENGERS」
シングルカットチューン。少年期の夢を抱いたまま、時の流れに立ち止まることのない旅人たち。
「ISOLATED RUNNER」
ランナーズ・ハイへ至る息づかい。まるでコヤニスカッティのような・・・・・どこへ行く?
「青い羊の夢」
奇妙なメロディー。眠りの為の眠りに見る夢。青い羊の夢。
「星のPICNIN」
ありそうもない話。いけそうもないピクニック。パラダイス・ロスト。
「LUCCIA」
美しいメロディー。美しい詩。シンプルなアレンジ。美しい三位一体。
プロフィール
岡野ハジメ(Bass A型 射手座)
官能と欲情の果てに現われた飽満の錬金術師。精霊の暗躍?いや、彼が欲しているのは、血沸き肉躍る音楽の”疑問符”なのかも・・・・・
福岡ユタカ(Vocal Composer A型 牡牛座)
陥落を知らぬ歓楽のヴォーカル。それは、東洋の時間の魔力。灼熱の太陽すらも弾き飛ばすワイルドなヴァイヴレーション・・・・・
矢壁アツノブ(Drums A型 乙女座)
濃密なビートを友とし、異国への誘惑を孕んだ甘美な物語を秘めるグレイスフル・ドラマー。運河を流れるウォーター・ヒヤシンスにそっと手を差しのべる・・・・・
渋谷ヒデヒロ(Guiters A型 蟹座)
シュールな夢が訪れる時、6本の弦が揺れ始める。ロコモーティヴな少年。また、ある時は虚無の修行僧・・・・・
ホッピー神山(Keyboards O型 魚座)
夜の喧噪に電子楽器は目を覚まし、絢爛な絵巻物をひもとき始める。闇の底で世にも美しい調べが鳴り響いた・・・・・
スティーブ衛藤(Percussions A型 牡牛座)
強靭なフットワークを見せるプリミティヴ・ボクサー。リング上は、無敵の打楽器で埋め尽くされる・・・・・
ステージの写真はラフォーレ・ミュージアム飯倉でのライブ(1985年12月)のものと思われる。
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